serenade -6-
<F side>
私はずっと孤独と切なさを抱いて生きなければならない―――
そう思ってた。
だけど…ステージを降りた私の前に現れた彼…
リチャードの出現で世界は変わった。
汚され堕とされた私を… 自分で自分が許せなかった私を…
すべて許して受け入れてくれた。
闇の中で彷徨ってた私を救い出した一条の光―
それがリチャード…
私にくちづけして、髪を掻きあげ…抱きしめてくれ愛してくれた…
二度と逢えない、抱かれるなんてありえないと思っていただけに
彼の熱と存在で私の中の闇は初め飛んでしまった。
ずっと恋し愛し続けてきた彼に貫かれた瞬間――― 私は解放された……
「もう二度と… 離れない… 離れたくない…」
私が彼の腕の中でそう告げると微笑んでくれた。
「もう… 離さないよ…ファリア…」
2年半前より逞しさと凛々しさを増した彼に告げられ身も心も震えた。
幼い頃から彼が好き。
子供の頃は童話の王子様みたいに思ってた。
いつも私の危機を救ってくれるヒーロー。
幼馴染でいつも一緒―
気づけば恋してた。
恋に落ちたという瞬間はなかったように思える。
あえて挙げるのなら…4歳の時。
初めて彼に救われた…幼い日。
彼もたった5歳だった。
今の私は19歳。
…あれから15年―――
一度引き裂かれ2年半離れてしまった私達。
再会した彼は… 凛々しく逞しい騎士然とした立派な青年に成長していた。
幼馴染に、許婚に一目惚れ…というのはおかしい気もするけど
そんな感情に近い気がする。
それくらい彼は素敵な男性になっていた。
もう離れたくない―――
フルシーミ星で二人、暮らすのもいいかと思っていた。
*
私達は眠らずに話していた。
「リチャード… それにしても…どうやって私のコト探したの?」
「あ? あぁ…君の父上の作成なさった資料と…レト星管制センターの所長の所のデータ。
それと僕の計算で。 あとはきっと逢えると信じていた僕の思い…かな?」
思いがけない言葉に驚く。
「って…え? 父は…父は…生きているの??!!」
「あぁ…元気にしておられるよ。君の弟もね。
セーラ様は…あの時に亡くなられた…」
まさか父と弟が生きているなんて思いもしなかっただけに青天の霹靂。
「母が…? でも父と弟は生きているのね?」
「あぁ。」
「会いたい… 父に、弟に…」
「会えるさ。君の父上に約束した。
必ず君を連れて帰ると。」
妙に自信のある彼の言葉に私は疑問を持っていた。
「でも… このフルシーミから…出星許可は下りないし、船もないのよ?」
「大丈夫だ。僕は連邦政府の特別IDを持ってる。
君の事も問題なく連れて行ける。心配ないよ。」
「…え?えぇッ!!?」
コレには本気で驚いたわ。
「信じられないかい?」
「でも、何で? どうしてあなたが連邦政府の…??」
「僕は1年間、地球連邦のルヴェール博士の結成したビスマルクチームで
デスキュラと戦っていた。
戦争は終わったけど、僕には、いや…メンバー全員が特別IDを持っている。」
予想もしなかった話に彼の顔を覗き込むと
穏やかに話してくれている。
「あなたが?! あの…特務のチームの一員??」
「知ってた?」
「ビスマルクチームって名前だけ…メンバーのことまでは知らなかったわ。」
「そうか…」
彼の手が身を起こし瞳を覗き込む私の黒髪を梳く。
「この星…エネルギー鉱山の星だからデスキュラに狙われるかもって噂があったの…」
「そう…か。何もなくてよかった。
…ファリア、君は何も心配しなくていい。
ちゃんと英国に僕の元に帰れる。」
「そう…。」
彼に逢えただけでも嬉しいのに父と弟が生きてる。
それに帰れると解って涙が止まらない―――
彼の素肌の胸に雫が落ちる。
「…ファリア…」
「ごめんなさい… 嬉しくて…止まらない…」
「いいよ…」
彼の広い胸に抱かれて私は涙が溢れて止まらなかった…
窓の外が白に始めた頃、彼の腕に抱かれうとうととしていた。
喜びで見も心も満たされていた―――
もう失いたくない、離れたくない…
ずっと恋している…
ずっと逢いたいと願っていた…
夢の中でしか逢えなかった彼が現実に目の前にいる。
「リチャード…」
「うん?」
彼の手が優しく私の頬を撫でる。
「ずっと…愛してる… もう、離さないで…」
「あぁ、離さないよ…
君は僕の、僕は君の…」
お互い穏やかな思いで瞳を閉じた。
私はもう、迷わない――
身も心も彼に捧げるわ――
fin
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(2005/8/28&29)
*あとがき*
一応…激LOVEのハッピーエンド…??
またこれが続くかも…???
もう勘弁してください…(笑)
to -5-
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