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serenade -2-
<F Side>
私、フェアリーことファリアは午後、村の小さな教会へと向かう。
毎日、祈りを捧げる姿を神父様は見ていた。
祈りを終え、聖堂を出ようとする私に声を掛ける。
「フェアリー…」
「神父様…?」
「毎日、熱心だね。」
「えぇ…」
「ずっと思っていたんだが、何を祈ってるのかな?」
笑顔で目を細め問いかけてくる。
「…私の両親と弟の冥福を。
そして地球に暮らす…彼の幸せを願って。」
神父様の顔に驚きの色が浮かぶ。
「彼… 恋人かね?」
「私は運命に翻弄されてフルシーミに。
もう2度と彼には逢えないでしょうから…
だからせめて彼には幸せになって欲しいのです。」
私の言葉を聞いて神父様は切なげな瞳を向けた。
「…そうだったのか。 想い人がいたのですね。
だから誰の求愛も受けなかった…」
「はい…。
神父様、お願いです。
この事は誰にも言わないで下さい。」
「え…?」
「私は…もう彼にふさわしい女じゃありません。
本当なら彼の幸せを祈る事さえ…
でも、私は… まだ愛しています。」
瞳を閉じて彼を思い描くけれど、苦しみがじんわりと胸に広がる。
「フェアリー…」
神父様は私の目を見つめてくる。
「解った、私は神父だ。
人の秘密を守るべき立場の者だ。安心しなさい。」
「ありがとうございます。それでは。失礼します。」
私は肩にまとっていた黒の薄いベールを頭からかぶる。
バーで歌う私を人々はいつしか"夜の妖精"と呼び始めた。
確かにそうなのかもしれないと感じている。
両親と弟を宇宙で失った。
そして出ることの許されない…カゴの星・フルシーミに辿り付いた時、
地球に帰れないと知らされた時…
私は死んだも同然だった―――
*****
―2年半前の7月
アテナⅡ号が沈んだ時、私は緊急脱出用カプセルに乗り込んでいた。
現場からはじき出されたカプセルを回収してくれたのはフルシーミに向かう貨物船。
私が目覚めた時、船はもう大気圏突入寸前。
この星に入ったら2度と出られないと告げられた時、私は泣き叫んだ。
「ウソ!! ウソよ!! そんなのイヤ!!地球に返して!!!」
「無理だよ。どうしても帰りたいなら…連邦政府に入るんだな。」
私にそう言ってきたのは船長の男。
「…え?」
「あんたじゃ、無理か…」
私はただ呆然とするしかなかった。
フルシーミに着いたら、全寮制のハイスクールに入れられた。
こんなコトになるなんて思いもしなかった私はただ流れに流されるだけ―――
ハイスクールに入って3日目―
英国の学校で学んだ事ばかりで真面目に聞く必要もないと感じていた。
そんな事より、今の自分の置かれている状況が悪い夢なのではないかと…
授業態度が悪いと居残りさせられ、教師に説教された。
すっかり暗くなった校舎を出て、寮に戻ろうとした時
私を3人の男子生徒が取り囲んだ。
「何……?」
「ひゅ~、噂どおり、めっちゃ美人じゃん!!」
「何の御用?」
「御用と来たもんだ。いいね♪」
私はその男の顔に嫌悪感を感じて逃げ出そうとしたが
退路を阻まれ、手を掴まれた。
「イヤ!! 放して!!」
「おい!連れて行こうぜ!!」
「あぁ。」
「イヤぁ!! 放してッ!!」
泣き叫んだけれど男達は私を引っ張っていく。
恐怖と戦慄が身体に走った。
男達は誰もいない体育館倉庫に私を連れ込む。
隙を見て逃げ出そうとしたけれど、あっさりと捉まってしまった。
「放して!! いやぁああッ!!誰か… 助けて!!」
「誰もこねぇよ。諦めな。」
「イヤァああ!! リチャード!! リチャードッ!!」
私はこんなところにいるとも知らない彼の名を叫んでいた。
ただ絶望が私を襲う。
男達の手は私の制服のシャツを無理やり引き裂き、スカートをめくり上げる。
6つの手が這うだけでも肌が粟立つ。
英国の音楽院にいた頃…
抱いていた恐怖が現実になっていた。
誰も知る人のいない辺境の星の片隅で私は… 堕ちた。
堕とされた―――――
抵抗しても無駄だった。
無残な姿で私はマットの上で陵辱されていた…。
男達の下品な言葉と卑猥な音が私の耳に響く。
「ひょ~、この子、こんなおとなしい顔してバージンじゃないぜ~!!」
男は嬉しそうに叫んで腰を動かしていた。
(感じない… 吐きそう…)
そう思っても空の胃だから胃液が口の中に拡がる。
3人の男達は私を次々に犯していく。
(もう… 逢えない… 私… 私… )
涙が溢れてきた。
瞳を閉じて彼を思い出すと身体が心が熱くなる。
それだけで十分すぎた。
いつしか私は身体を揺らし、腰を揺らしていた。
心の中で叫びながら…
(リチャード!! リチャードッ!! 私… 私… もうダメ… 汚れた、汚されたの…
もうあなたのファリアじゃない!! 忘れて!!
私はあの日… 死んだの… )
もう思考はなかった―
もう何も考えたくなかった――
***
男達は満足したあと、私を放置していった。
私は重く軋む身体で立ち上がる。
シャツのボタンは飛び、スカートもぐしゃぐしゃ。
太ももや胸元、口元には男達の吐き出した白いモノが乾いてこびり付いていた。
(死にたい… )
ふらふらと立ち上がり、学校からも出て行く。
シティから出て、荒野をのろのろと歩いてく―――
石に足を取られ転倒した。
痛みすら感じない。
頬に当たる赤茶けた乾いた大地。
(死ねるのかしら…? ううん…死にたい…
父さま、母さま、弟に会えるかしら…?
魂だけになったら会えるかしら…リチャード… …愛してる 大好きよ… )
彼の優しいエメラルドの瞳を思い出して瞳を閉じた―――――
to -3-
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(2005/8/27)
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