#17 THE STAR


進児とマリアンがジョーンの元を尋ねて12日が過ぎた頃…


やっと王宮のマリアンのところへ、連絡が入った。


慌ててふたりはジョーンの店を訪ねる。


「ジョーン様!!」

「マリアン姫、やっと帰ってきたのですけど…今ちょっと外出してますわ。」

「全く… 落ち着きのないやつだな。昔からだけど…」





15分ほどして…やっと帰ってきた青年。



「たっだいま〜♪ ジョーン☆」

「やっと帰ってきたよ…何処行ってたんだよ!! ビル!!」

「わぁッ!! 何だ?! 進児じゃねーか、久しぶりだな。」

「のん気な事言ってる場合じゃないんだ!!」

突然、顔を出した進児に驚くビル―



普段はかなり軽く見られがちな魔術師だが
あらゆる魔法道具を使いこなし、様々な問題を解決するというある意味何でも屋…

しかし魔物退治などでは一流との評判の青年。



「実はな…」


進児がまだ面食らっているビルに事情を説明する。




   ***

「と、言う訳なんだ。
北の暗黒の地に行く手立てを知っているか、持っているんだろう?
手を貸して欲しいんだ。」


進児の話を腕を組んで聞いていたビル。


「…いいけどさ… 報酬アリ??」

「はぁッ!?  ってお前、昔からそういうやつだったよな。」

進児とビルの会話を聞いていたマリアンが真剣な顔して言う。

「…解りました。
姉さまたちの命が助かったらお父様とラーン王国の国王陛下に頼んでみるわ。
ね、進児様?」

「あぁ。父上に頼んでみる。だから…頼むよ。」


王子と王女に懇願され、悪い気はしないビルはにっと笑って返事する。

「いいだろう。 な、ジョーンも行かねえか?」

「…解ったわ。」


「じゃ、行こうぜ。」

「もう…何処から??」

「とにかく外に。」




4人になった一行。



ビルは都の外れに出ると術法を唱え始めた。
すると…

30分ほどで 空に大きな船が現れる。


「何?… 空に船??」

マリアンと進児が初めて見る空に浮かぶ船…


「あぁ。俺の師匠のダチが船長でな世界中を旅してる。
何かあれば呼んでくれって…
これで心置きなく北の暗黒の地に行けるぜ。」


自慢げにビルは微笑む。


空に浮かぶ船は地上に降りてくる。
中から日焼けしたごつい男が出てくる。


「おーい!! ビル〜!!」

「あぁ、久しぶりだな、マスターホリディ。
すまんがちょいと北の暗黒の地に行って欲しいんだ。」

「いいけど…高くつくぞ。」


いかつい顔はちょっと眉をしかめる。

「…こっちの進児王子とマリアン姫さんが払うってさ。」

「ま。よかろう。さっさと乗りな。」


「あ、あぁ…」



船に乗り込む4人―




北の暗黒の地へと向かう途中、進児とマリアンはホリディに事情を説明する。


「はぁ!? そーか、そういう訳か…」

「何か知っているのか?」

「最近やたら竜が飛んでてよ… 2度ほど危うくぶつかられるところだった。
ヘタしたらあいつの炎に船が焼かれちまう。」

「そうか…」

進児とホリディが神妙な顔でやり取りしていた。


「ねぇ、ところで新月っていつ?」

「え?…あぁ…」

答えられないビルの変わりにジョーンが答える。

「新月は3日後の夜よ。」


一斉にジョーンに視線が集まる。

「な、何よ… 」

「何で解るんだ?」

「私は占星術師よ。 知っていて当然だわ。」

「そっか…」

ビルとジョーンの少々抜けた会話を聞いてマリアンは焦りを覚えた。
思わず怖いと思って近づかなかったけれど、ホリディに詰め寄る。

「ちょっと!! それじゃ、早く行ってよ!!
姉さまが!!」

「わーった!! 解ったよ!! お姫様よ。」









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(2005/12/11)

" THE STAR">星 タロットカードの大アルカナのひとつ。No.17.

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