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Gone With The Wind -3-
リチャードが買い物を終えてビスマルクマシンに戻るとビルがわめいていた。
「おっせーじゃねーかよ!俺は腹がへってんだよ!」
「あぁ、すまない。」
その気のない返事にビルはますます気に食わなかった。
マリアンが突然、ダイニングに飛び込んできた。
「大変!デスキュラに襲われている村から緊急信号よ!」
「なんだって!?」
3人は立ち上がって、コクピットに向かう。
マリアンがコンソールキーを叩いて情報を出す。
「ここから約10キロほど東にある村からよ。」
「村?」
ビルが訝しげに呟く。
「えぇ、エルミナ村といって湖の中にある島の村よ。」
マリアンの言葉にリチャードはあることが思い浮かんだ。
「僕がさっき、買出しに行った村だが…まさか… デスキュラがその湖を狙って…?」
進児がメインコンソールのシートに滑り込む。
「可能性は高いな!すぐに向かおう!」
「おう!」
「スーパーフライト GO!」
*************
ロバートとベスの車から村が見える距離に来たとき、異変に気付いた。
村のそこここから煙が上がっている。
車が村の中心部にある村長の家に着くと、建物が半分吹き飛んでいた。
「何てことだ…」
青ざめるロバート。
「父様と母様は…?」
ベスは焼け焦げた家に入っていく。
「お、おい!」
ベスを追ってロバートも家に入る。
家中から異臭が立ち上っていた。
「父様!母様!」
ベスが叫ぶ。
しかし返事はない。
「父様!母様!」
半分涙声で呼び続ける。
探し続けた二人が見つけたのは…血を流し倒れている両親だった。
「おやじ!おふくろ!」
ロバートが父親を抱き起こす。
すでに息はなかった。
「くそっ!デスキュラめ!!!」
「兄様…」
ベスも涙でぼろぼろになりながら両親にすがりつく。
***************
ビスマルクチームが駆けつけた頃には村は壊滅状態だった。
ビルがミサイル攻撃を受けたらしい畑を見て何かに気付く。
「おい!進児。」
「ん?何だ?」
ビルが指差す方向には水路があり、傷ひとつないことに不審を抱いた。
「やはり水が目的か?」
「そうらしいな…」
リチャードが呟く。
村の悲惨な状況を見ていたビルは何か動くものに気付く。
それは進児とリチャードの目にも入った。
「降りて村を調べてみよう。」
「あぁ。」
3人はプロテクトギアに身を固め、村の中を捜索。
三方に分かれて行動していたリチャードは何かを見つけた。
何者かがこちらを伺っている。
銃を構え叫ぶ。
「誰だ?」
「くっ!?」
見つけられた影は猟銃を持って飛び出してきた。
デスキュラ人でない事に気付いた彼は相手の猟銃をとっさに叩き落とす。
「逃げろ!ベス!ここは俺が何とかする!」
男が叫ぶ。
その声とベスという名に聞き覚えがあったリチャードは男を振り払い、ヘルメットを取って素顔を見せる。
「君たちは昼間の兄妹か?」
「えっ!?」
二人は金髪の青年に気付く。
「あなたは?!」
***************
「マリアン、生存者を発見した。」
リチャードはビスマルクマシンに報告を入れる。
『わかったわ。進児君も生存者を見つけたらしいわ。』
「そうか、わかった。」
通信を終えるとリチャードは兄妹に告げた。
「ここは危険だ。何処かに避難を。」
ベスが心細そうに兄のシャツの腕を掴む。
「兄様。」
「あぁ、解っているよベス。」
「??」
リチャードは兄妹の会話が理解できなった。
「とりあえず、村の避難所に行けばいいだろう。」
村の避難所とは村長の家の隣にある教会の中にある隠し洞窟の事だった。
祭壇のマリア像の横に大きな宗教画がありそれが扉となっていた。
そこには80名ほどの村人が避難していた。
兄妹に連れてこられたリチャードはそこで進児とビルに会えた。
「こんなところに洞窟があるなんて…」
進児が呟く。
「ここの洞窟は外の湖に繋がっているんです。」
ベスが教える。
「へぇ~。」
ビルが少女に見入りながら感心していた。
「私たち、朝までここにいればいいんですか?」
ベスはリチャードに問いかける。
「とりあえず、それで構わないでしょう。なあ、進児。」
「あ? あぁ、そうだな。」
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(2004/12/12)
(2015/03/27 加筆改稿)
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