Gone With The Wind -2-
エルミナ村は小さな畑で収穫できる野菜と湖で獲れる魚で生計を立てている村なので
月に一度、村の代表が大きな街に買出しに出る。
今回は村長の家が当番。
ロバートとべスが行く事となる。
ビスマルクチームがエルミナ村に来ていた。
最近、頻繁に目撃されているということで、偵察に。
マシンは村の外に置いて、各自で動くことに。
今回の買いだし担当はリチャード。
「ふう、今日の買出しはこれくらいかな?」
久々に買出しに出されたリチャードは大きな荷物を抱えていた。
駐車場まで来て買い忘れに気付いた彼は店に戻った。
ロバートとベスは村中の頼まれ物で運ぶのも大変だった。
「ベス、ここで待っていてくれ。車を回してくるよ。」
「えぇ、お願いね。」
歩道に荷物を置き、ロバートは駐車場まで駆けて行く。
「ふぅ。」
ベスは大量の荷物の傍らに佇んでいた。
大きな街の中でもベスの美貌は見劣りしなかった。
あえて言うなら服装が少し流行遅れなくらい。
しかしそれでも彼女は美しかった。
通りかかった男たちがじろじろとベスを見る。
その中の二人組の男が彼女に近づく。
「ね〜え、彼女ぉ〜。俺たちと遊ばない?」
「損はさせないぜ〜」
下卑た男がその細い腕を掴む。
掴まれた腕から全身が粟立つ。
「は…離してください!」
「いいじゃね〜か。」
男はその脂ぎった顔を少女に近づける。
「い、いやっ!」
白い指先が男の顔を掠める。
「怖がらなくてもいいんだぜ〜。」
両手を掴まれ、抵抗できない少女を強引に抱き寄せようとする。
が、男は一瞬で地面に伏していた。
何が自分の身に起こったのか理解するのに時間がかかる。
男は自分をこんな状況にした相手を見上げる。
「レディにとる態度ではないな!」
そこには見慣れない金髪の青年−−リチャードが立っていた。
「何しやがるてめぇ!」
もう一人の男が彼に振りかぶるがあっけなく吹っ飛ばされる。
地面に倒れていた男が飛び掛るが
彼はその拳をひょいとかわし、蹴りを決める。
「く、くそっ!憶えてろよ!」
男たちはよろよろになりながらお決まりの捨てセリフを吐いて逃げていった。
「大丈夫ですか?」
リチャードは振り返って少女に笑顔を向ける。
トニー兄様に似た金髪の凛々しい青年に心がときめく。
「あ…ありがとうございました。」
そこへ車に乗ったロバートがやってきた。
妹・ベスの隣に見知らぬ青年がいる事に気付いたロバートは
車から降りて駆け寄る。
「どうした!?ベス?」
「兄さま!」
ロバートはリチャードに向き直り、殺気立って問いかける。
「俺の妹に何か様か?」
その刺々しい口調に押されるリチャード。
「兄さま!失礼よ!この方は私を助けて下さったのよ!」
「助けた?」
ベスの言葉に振りかえる。
「妹さんが変な男たちに絡まれていたのでお助けしたんです。」
彼の言うことを鵜呑みにしないロバートはベスの腕を掴んで車に乗せ、
荷物をさっさと積むと彼に何も言わずに車を出した。
帰りの車の中でベスもロバートも不機嫌。
「兄さま!私を助けて下さった方になんて態度??!」
「うるさい!お前は俺が守ってやるから、他の男なんか気にするな!」
訳の解らない兄の態度にベスは何も言い返せなかった。
「兄さまなんて、もう知らない!」
残された彼……リチャードは買いなおしたはずの品物が手元にないことに気付いて
再び店の中へと消えた。
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(2004/12/12)
(2015/03/27 加筆改稿)
あとがき
あはは〜。
何処かで見たような展開だと思った方もいるのでは?
ジョーン先生のときと同じく彼女に絡んだ男二人の声のイメージは
立木文彦氏&西村智博(現・朋広)氏でっすv
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