White Snow -4-
ベッドの端に腰掛け、TVを見ているふたり。
彼は自然に彼女の腰を抱いていた。
密着しながらも 報道されるニュースを見ている。
彼はそっと 彼女の頬にキスする。
くちびるが触れているだけ――― なのに嬉しさをお互い感じている。。。。
時計の針の音だけが響いていた。
「そろそろ出る用意しないと…」
時計を一瞥した彼女の一言で仕度を始める。
スキーウェアに身を包み、エントランスに集まる6人。
ゲレンデまで徒歩20分もかからない。
抱えていた板を着け、6人まとまって動くが…
「ちょ、ちょっと待ってよ、ビル!!」
「なんだい?ジョーン?」
「私、初めてなのよ!!」
「あぁ、そうだったな。
俺が教えてやる約束だったな。」
「そうよ!!」
そんなふたりのやり取りを見ていた4人。。。
ファリアがそっと彼に告げる。
「私、初心者コースに行ってくるわ。」
「え?」
「だって、私なんか8年ぶりなのよ。
忘れちゃったわ。」
「そっか…そうだね。
…僕が教えてあげるよ。」
「いいの?」
「あぁ、連れてきたのは僕だからね。
進児、マリアン、そゆことで。」
「あっそ。」
二人は呆れていた。
ビルはジョーンをリチャードはファリアを教える事に―
しかし なかなか上達しないふたり。
気づけばランチタイムになっていてレストハウスに行く四人。
パウダールームで乙女は切り出す。
「ねぇ、ジョーンさん。」
「なぁに?ファリアさん?」
「…あのね、いっそ、プロのコーチに教えてもらわない?」
「え?」
「プロのインストラクターに習うのよ。
あの二人が悪いわけじゃないけど…
私達に付きっきりで思い切り滑れないの可哀相でしょ?」
「…そうね。
私も気になっていたの。
その方がいいかも…」
テーブルに戻るとランチを終えた食後の一服をしているビルとリチャードに
ふたりは話しかける。
「ねぇ、リチャード…」
「ん?」
「あのね、私とジョーンふたりとも
インストラクターの先生に教えてもらった方がいいと思うの。」
「え?」
「だってこのままじゃ、ビルさんもあなたも思い切り滑れないでしょ?
だから…その方がいいと思うの…。」
「そんな風に考えてたのかい?」
「えぇ。
やっぱり私、運動下手だし。」
「私もビルに楽しんで欲しいの。」
「ジョーン…」
二人の乙女の優しい気遣いに嬉しくなる男ふたり。
「わかった君たちがそう言うなら…ビル、お前の意見は?」
「あぁ。 ジョーンがそうしたいって言うのならな。」
ジョーンとファリアはレストハウスの横にある事務所でインストラクターを紹介してもらう。
マンツーマンと言う事でひとりにひとりのインストラクター。
ジョーンにはポールと言う28歳のインストラクターが、
ファリアにはマイケルと言う24歳のインストラクターがつく。
個人指導とわかっていたら、ビルもリチャードも行かせなかったかもしれない。。。
それぞれの腕前を披露させられるふたり。
「確かに初心者だね。」
微笑むマイケル&ポール。
インストラクター達は初心者用のゲレンデで指導を始める。
ジョーンが2時間ほどでかなり滑れるようになったのに対し、
ファリアは昔なんとか滑れたのに腰が引けていまいち上達しない。
とりあえず、板に慣れようということで、林道を歩く事に。
ジョーンがマイケルとファリアを見送る。
一方、上級者用のゲレンデで滑走していたリチャード。
何か胸騒ぎを覚える。
「何だ?」
名前を呼ばれた気がした。
いつもこういう感じの予感は当たることを彼は熟知していた。
「…ファリア?」
周りを見渡してみても、姿があるはずはない。
そんな彼に気づくビルたち。
「…」
やはり何か気になる。
彼はいきなり滑走し始める。
「どうしたんだよ? 」
ビルが追いかけてきた。
「名前を呼ばれた気がした。」
「はぁ?」
「何もなければいいが…
いつもこの感じは…当たるんだよな。」
「気の回しすぎじゃねぇの?
ジョーンだって一緒なんだぜ?」
「そうだといいが…」
彼は彼女を目指して滑走する。
その頃…
林道を一生懸命に歩くファリア。
板を付けたままで、平地を滑るのにやっと慣れてきた。
「ふぅ…」
つい溜息が出た。
「ねぇ、マイケル。ちょっと休憩しません?」
そう言って振り返る彼女にマイケルは飛び掛っていた。
雪の中、押し倒される。
「きゃ!! 何なさるんです?」
「何言ってんの?
女ふたりでスキーに来てるってことは男探しなんだろ?」
さっきまでとは違う、好色に彩られた男の瞳で見下ろされる。
「そんなんじゃないわ!! 離して!!」
「こんな美人なのに…男ナシじゃ淋しいだろ?」
興奮した荒い鼻息でくちびるを奪おうとしてくる。
嫌悪感で悪寒が走る。
「い…いやぁあッ!!」
彼女は手にしていた、ストックで男を殴る。
へこむストック。
かなり痛かったらしく、男はカッとなって乙女の頬を叩く。
ぱんッ!!
「きゃッ!」
頬に真っ赤な痕が付く。
「カマトトぶんじゃねえよ!!」
男はスキーウェアの上から胸に触れてくる。
「いやぁあ…!!」
無我夢中で男の股間を蹴ろうとするが、板がついたままで出来ない。
「へへ…ッ…結構思ったより大きいな…」
下品な男の声が耳元に囁く。
「いやぁああ…助けて!! リチャード!!」
その時、男の身体が不意に浮いたと思ったら、宙に浮いて吹っ飛ばされた。
駆けつけたリチャードが男を彼女から引き剥がし、
殴打していた。
目の前の光景にその名を呼ぶ。
「リチャード!!」
「無事か!?」
彼女の顔を覗き込む、彼は心配に彩られていた。
思わず彼に抱きつく。
「リチャード!!リチャード!! 来てくれたのね!?」
「あぁ… なんか妙な胸騒ぎを覚えてね…」
「怖かった…怖かったの…」
そっと優しく彼は抱きしめる。。。
そこへビルとジョーンとポールが駆けつける。
「どうしたんだ?」
「そいつが…彼女を襲ってた。」
「何!?」
「そうか…コイツが犯人だったのか…」
ポールの言葉に3人が振り返る。
「「「え?」」」
「この2ヶ月ほど、ゲレンデ周辺で6人の女性が乱暴されていたんだ。」
「「「!?」」」
山岳警備隊が連絡を受けて、スノーモービルで駆けつける。
マイケルは白目をむいていたため、病院に搬送された。
「君は…怪我ないか?」
「…ん? なんとか… い、痛!!」
立ち上がろうとして、痛みが走る。
彼は抱き上げようとしていた。
「何処が痛い?」
「足を捻挫したみたい。。」
軽々と抱き上げて、ゲレンデのふもとにある救護室へと運ぶ。
医師の診断の結果は「左足首捻挫」
2,3日は安静にとのことだった。
診察の直後、警備隊隊員が二人やってくる。
「例の事件の被害者が運ばれたと聞いてきたのだが…?」
「あぁ、そこの若いお嬢さんだよ。」
医師は患者のファリアを指す。
「あなたがマイケル=ソーホーに襲われた被害者?」
「はい。」
「そうですか。
私は山岳警備隊隊長のコリン=アンロックです。
こっちはジム=コーウェイ。」
挨拶する二人。
事情聴取を受けるファリア。
傍らの彼が彼女の名を公表しないでおいてくれと頼む。
そして彼らの車で別荘へと戻る。
彼に抱きかかえられて、2階の部屋へと運ばれる。
着替えて、落ち着いた頃4人が戻ってきた。
4人はファリアを見舞う。
「そういやさ、この一階の奥にさ、温泉があるんだよ。」
「「「「「温泉?!」」」」」
ビルの発言に5人は目を見開く。
「なんか、ここのオーナーってさ、日本人らしくて、
そういうの作ったらしいぜ。」
「て、ことは捻挫にもいいはずだよ。」
進児が笑顔で告げるとファリアは笑顔で返事する。
「そういうことなら、私、入ります。」
「その方が良さそうだね。」
「どんな風なのか…見てみようぜ!!」
ファリアは彼に抱き上げられて、一階へ。
6人は揃って温泉を見に行く。
進児の説明によると、純和風の温泉。
ヨーロッパなどにある、スパと違って水着は着ないで入浴するということ。
「ここの男湯と女湯に分かれてないから…
時間ずらして入るか。」
進児の提言の通りにする。。
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(2006/2/8)
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