Sympathy  -5-





夕方にはホテルに戻る二人。
またもロビーに待っていた4人。


特にマリアンは彼女の指のリングにいち早く気づく。
そのこともあって4人には散々、冷やかされていた。


6人は夕食を共にする。
ランチと同じく賑やかなテーブル。




   ***



姉弟はツインベッドの部屋。

そのためシングルの部屋の4人とはワンフロア違っていた。


弟は風呂に入り、さっさと眠る。

すやすやと眠る弟の額にキスして姉は部屋を出た。


夜10時過ぎ…彼の部屋を訪ねる。


夕方の時点で彼に部屋に来るように言われていた。
これから起こる事は予想がつく。
けれど、もう迷わないと決めた。

ノックすると出てきた彼は上半身、裸のまま。

弟のも見ているし、他の男も知っている。
けれど恥ずかしくて思わず小さく叫んでしまった。

「おっと、失礼。」

シャワーを浴びていたらしい彼。
金の髪が額に張り付いていた。

「ご…ごめんさない。出直してきたほうがいいかしら?」

「いや。…さ、入って。」

「…はい。」





ドアを閉めた彼が背中から抱きしめ、耳元に囁く。

「もう迷うな…僕だけを見てろ…」

彼の大きな手を包む白い手。

「…はい。でも、ホントに私でいいのね?」

「あぁ。」

低い声が耳に心地いい。

「…私、少し後悔してる。」

「ん?」

「身体…もう処女じゃないもの…」

「…いや、違う。」

いきなり彼に否定され驚く。

「え?」

「今夜、初めて僕が抱くんだ…」

「あ…」

「僕だけを刻み付けてやるさ…」






熱くくちづけられ力が抜けた彼女を抱き上げベッドへと。

ファリアは彼の大きな手や指、くちびるからあたたかく染み入るような愛情を感じていた。

前の2回とは全く違う… ただおぞましい感覚を耐える時間に過ぎなかったのだと。



彼が愛撫するたび身体中が甘く切なく疼き、思わず声が上がる。

「あぁんッ … リ…チャード…あん…」


今まで自分で聞いた事もないような鼻にかかった甘い声。


何とも言えぬ甘美なしびれる様な感覚。

彼の指が肌を滑るたび声が上がる。

「はぁ…ん、やッ…ん…」

彼の指が自分を狂わせていた。


自分でも解るくらい身体が蕩けている。

激しい水音を立てて、しなやかな彼の指が蜜壺を掻き混ぜる。

「はぁああん…ッ!!」



  (…もう何も考えられない、彼以外…)


視界が真っ白にハレーションする。

初めての絶頂感を感じて困惑していた。


  (全然違う… 愛する彼に抱かれるって…こういう事…??)



彼の動きは止まらない。
溢れ出す蜜を舌先ですくい取る。

「あん、や…ッ  ダメよ… そんなこと…汚い…」

「そんな事…ないよ…」

指とは違う、柔らかくねっとりとした動き。

「はぁああん…やぁッ ダメぇ…」

まるっきり処女の反応を示す彼女にぞくぞくとした電流が腰に走る彼。
白い太ももに頭が挟まれ心地いい。
やわらかな内ももに軽くキスする。

「やんッ!!」


「…ファリア…  もっと僕を感じて…」



彼が身を沈めるとギシとベッドが軋む。

「はぁ…ああんッ!」

リチャードの秀麗な眉も歪んだ。
強烈な快感に我を忘れそうになる。

「くッ…」



彼に貫かれて初めて女になった気がした―

「やあぁッ! 動か…ないで…」

汗を滲ませ、涙を流す彼女の顔。
それだけでも彼はイってしまいそうだ。
ゆっくりと腰を使い出す。

「やッ…やッ… ああッ!!」


荒くなる吐息と甘い喘ぎ声がハモる。
そこへベッドの軋む音が不協和音となっていた。


「はあああん…も…ダメぇ…」

「く…はぁ…」

まるで処女の体を抱いているような感覚に襲われるリチャード。
彼にとっても少々キツイ。

彼女のうねりをモロに受け、中で爆ぜてしまう。

「う…あぁ…」

今までにないほどの開放感と衝撃。
自分でもコントロールできない。
どれだけ彼女の内部に流れ込んでいくのかわからない。




熱くたぎる彼の精で初めての絶頂感に襲われる。

「やッ!はぁあああん…!ッ!」

びくびくと身体をわななかせ、情熱のたぎりを受けていた。

彼女もまた初めて味わう強烈な快感に包まれていた。
意識が遠のいていく…




   ***


白いシーツの上に流れる長い黒髪をリチャードは指で弄ぶ。

彼女が意識を取り戻すと彼の腕枕に抱かれていた。

「あ…」

「大丈夫か?…すまない。ちょっと手加減出来なかったよ。」

そっと汗で張り付いた黒髪を外す。

「…えぇ。」

少し照れ臭さを感じて彼女はうつむく。

「リチャード…後悔しない?私で…」

「何を今更…」

「だって…私、婚約した頃… きっと初めてはあなたに捧げるって思ってた。けど…」

「…僕だって…君に恋していると自覚し始めた13の頃。
初めて抱く女性は君だと思ってた。」

彼の言葉に驚き、思わず顔を上げた。

「…え?」

「驚かないで聞いてくれるか?」

「え。…えぇ。」

「僕も…最初の二人は…仕事がらみだったよ。」

「!!」

ああ言われたけれど、驚きを隠せない。

「諜報部の訓練所で…訓練の一環でね。好きでもなんでもない女性と…
ただの行為に過ぎなかったよ。
だから…君一人が気に病む必要はない。それに…」

「それに?」

「今夜初めて…ずっと恋してる君を抱いた。
僕にとって初めての…愛情あるものだ。
だからこれでよかったと思う。」

そう言った彼の頬に触れる。

「リチャード… 私もそうだわ。
私も…あの時はただ苦痛と屈辱とおぞましさしか感じなかった。
けど…あなたは違う。 私もあなたに抱かれて初めて知ったわ…」

「そうか…お互い初めての…ことだったんだね。」

「えぇ。そうみたい…」

彼女は幸せな気持ちに浸りながら彼の広い胸に顔を埋める。
リチャードもまた、穏やかな想いを感じて愛おしげに白い肩を撫ぜていた。






   (あら…!?)

彼女は自分の身体の違和感を感じ、慌てて床に散らばった服で身を隠し
バスルームに駆け込んだ。
つうと赤い血が太ももに滴る。

  (嘘…  って…あ、ひょっとして…経血?)

思わずシャワーで洗い流すが止まらない。
この2ヵ月なかった月経。
ぽとりと血の塊が落ちて、排水溝へと流れていく。



ずっと精神的に落ち込んでいたのと、軽い栄養失調で止まっていたのだ。


彼が心配してバスルームを覗き込む。

「どうした?大丈夫か?!」

「あっ…やッ…見ないで…」

流れ行く湯に紅い筋が見える。

「え…!? まさか…やっぱり初めてだったのか?!」

「!!  …違うわ。これはその…」

顔を真っ赤に染めているファリア。

「突然、来ちゃったのよ…」

「え…」

「今日はもうダメよ…ごめんなさい…」

「あ…そうか。解ったよ。」

恥ずかしくていたたまれない。


服を着るとバスルームを出る。

「私…部屋に戻るわ。」

「いや、今夜はここにいてくれ。」

「え?」

「君のぬくもりが欲しい…ダメか?」

まるで子供のような彼を見てときめきを覚える。

「…少しだけ…待ってて…」

「…解った。」

彼の部屋を出て自分の部屋に戻る。
以前使っていた用品がトランクに少しだけあった。



再び彼の部屋を訪ねる。
もう深夜12時過ぎ―



「おかえり。」

「…ただいま。」

そっと抱きしめあう。



「リチャード…」

「うん?」

「ずっと任務があるのでしょう?」

「あぁ。デスキュラとの戦争が終わるまで…」

切なげに告げる彼の頬に触れる。

「私…待ってるわ。ずっと。」

「すまない。待っていてくれるか?
必ず行くから…」

「えぇ…」

リチャードの手に細い腕をまわす。
視線が重なり、くちびるも重なる。

もつれあう様にベッドへと倒れこむ。

くちびるを貪りあう二人の影はひとつになっていた―――










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(2005/5/29)


To Love Sick