-28-   「hawaii」



―ハワイ二日目

午前中は予定通り買い物に出る4人。
ビルたちの姿は見かけなかった。


「まぁ…新婚旅行だし、ビルの気持ちはわかるさ。」

「何なの、ソレ?」

リチャードの呟きにマリアンが不思議そうな顔をして突っ込んでいた。


「殿方にも色々と思うところがあるらしいのよ。」

マリアンの言葉にファリアが笑顔で応えていた。
言われたマリアンは進児を振り返って言う。

「そうなの?進児君?」

「ん、まぁ、そういうこと。」





アウトレットモールに向かった4人。


前でマリアンとファリアがおしゃべりしながら歩いているのを見守っていた進児とリチャード。

「まずは…レディ達の服から見るか?」

「…だな。」






レディースのフロアを見て廻る。

「あ、コレ、かわい〜♪」

マリアンがお気に召したのはミニスカートとトップス。
横にいた進児が間髪いれずに言っていた。

「いいんじゃない?」



リチャードはウィンドウ越しに服を見ていた。

「コレ、君に似合いそう。」

「また花柄ねぇ…」

くすくすと微笑むファリア。
その二人に気づいたマリアンが羨ましそうに呟く。

「あ、いいな〜。」

「いつもよ。彼、私に選んでくれるのって
花柄のワンピースとかスカートとか…結構多いのよね。」

「へぇ〜。でもいいな。積極的に選んでくれるなんて。」

「そう?だったら進児君に選んでもらいなさいな。」

「あんまり乗り気になってくれないのよね〜(汗)」

「あら、そうなの? …今はそうでもなさそうよ。」

進児とリチャードがウィンドウ越しにあれでもないこれでもないと
見ている様を見て乙女たちは笑顔をあわせていた。





そんなこんなで何着か買って、店で着替えさせてもらう乙女たち。
買った物は進児とリチャードが手に持つ。

「じゃ、次はメンズね!」

マリアンが息巻いて叫んでいた。




それぞれのパートナーに服を選ぶ乙女二人。
嬉々として買い物に燃えていた。



身軽な夏服に着替えた4人は一度ホテルに戻って買い物を部屋に置くことに。




再び4人は集まって外出する。


「ねぇ、まだ買うものがあるのよ♪」

マリアンがニコニコ顔で言うと進児は少しうんざりして言った。

「何言ってるんだよ。もう散々、買ったろ?」

「進児君!!! 何言ってるの! 水着よ。水着!! ハワイといったらそうでしょう?」

「あ…そうか。」

「じゃ、行くか。」

「うん!!」


進児とマリアンのやり取りを新婚夫婦は笑顔で見ていた。





「ねぇ、マリアンはビキニ?」

「そのつもり〜♪  ファリアさんは?」

「う〜ん、水着なんて数年ぶりだし、悩むわ。」



店に入るとまずは男女に分かれた。


「俺、コレでいいや。」

「僕も…」

男二人はあっさりとロングトランクスタイプ。







乙女二人はというと相変わらず迷っていた。

「あ、コレ可愛い♪ これもいいな〜♪」

マリアンはビキニを見てどれにするかで、
傍らでファリアもどれにするかで悩んでいた。

「うーん… セパレートか、ビキニ?はたまたワンピース??」


マリアンより静かに悩んでいた。


そんな二人のところに男衆。

「おやおや… やっぱり乙女二人はまだ悩んでるよ。
どうする、進児?」

「俺、向こうで待ってる。」

「ねぇ!進児君!! どっち着て欲しい!!??」


行こうとしていた進児の腕を引くマリアン。

「どっちでもいいよ。どっちも可愛い!!」

「もう!! ちゃんと見てよ!」

半ばヤケっぽく聞こえるが実は照れ臭いだけだった。

そのやり取りを笑ってみていた新婚夫婦。



「で、君は?」

「うーん… マリアンと違う点で悩んでます。」

「ん?」

「ビキニにするかセパレートにするか…ワンピースにするか…ってこと。
余計決まらないのよね。」

溜息をつく彼女の手を引いて彼はレディスの水着のコーナーを1周する。


「コレか…コレ。
…あとコレくらいか。イメージとして。」


彼が選んでくれたのは…
淡いミントグリーンのセパレート、ローズカラー系の花柄ワンピ、
白に紺の椰子の木柄のパレオ付きビキニ。

「この3点が私のイメージ?」

「まだ他にもあるけど。…僕から見てベスト3ってトコロか。」

「じゃ、これかしら…」


その3点を見て呟く。選んだのはパレオ付き。

「じゃ、これでいいじゃないか。
それとも3つとも買うか?」

「いいわよ。3つも必要ないもの。」

向こうでもマリアンが進児に意見を求めた結果、
オペラピンクのビキニに決定していた。


「やっと向こうも決まったようだね。」

「そのようね。」



まるで妹とその彼氏のようにファリアの目には映っていた。
二人を見ていると笑顔がこぼれる。


「じゃ、明日は海ね♪」

マリアンも進児も嬉しそうだった。





店を出て南国の空の下の4人。

「これからどうする?」

進児が横を歩くリチャードに問いかける。

「…じゃ、これからは2組に分かれるか…」

「そうだな。」

「頑張れよ、進児。でも焦るな。」

「解ってるよ。」

数メートル前を歩く乙女たちに声を掛けようとする進児たちの前で
日に焼けた男二人が彼女たちに声を掛けてきた。

「ね〜、彼女たち〜。俺たちと遊ばない〜?」

そのあからさまな下心に嫌悪感を感じたマリアンが強気に叫んでいた。

「結構よ!!」


駆け寄る進児とリチャード。

「僕の妻に何用だ!?」

「ヘ?! なんだ男つきかよ!」

野郎達は悔しそうな表情を浮かべて去っていく。
愛妻の肩を抱くリチャード。


「まったく…油断もスキもあったもんじゃないな…」

「あ、ありがとう。リチャード。」

「少しはマリアンを見習え。アレくらい言った方がいい。」

「…解ったわ。」

思わず語気を強めて言う夫の言葉に一瞬へこむ。





「リチャード。2組に分かれて大丈夫か?」

「あぁ。進児も僕もそこいらの男には負けんだろう?」

「まぁな。」

「じゃ…」

「また明日な。」




進児はマリアンの手を引いて歩き出し、リチャードはファリアの腰を抱いて歩き出す。



「ねぇ… マリアンと進児君を二人だけにしてあげるため?」

「それもあるけど… たまには二人だけになりたいさ。」

その言葉を聞いて笑顔を見せる若妻。

「そうね。」

「じゃ…戻るか。」

「え?」

「ホテルに。」

少し頬を染める彼女がいた―






ホテルに戻るとまだ陽がいる時間だというのに
恋の海へと溺れていく二人がシーツで泳いでいた。




「あ…リチャード…」




彼女の汗ばむ肌にキスを落とす彼の唇。

恋しくてたまらない

愛しくてたまらない

熱い肌が二人を溶かしていく―――






To #29「summer  beach」
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(2005/7/30)





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To Love Sick