-19-   「honeymoon」



4時をまわる頃、二人は部屋に戻る。

ファリアはスーツケースの中身をクローゼットに掛けてゆく。

「ね、リチャードのキー貸して。」

「え?」

「…モノによってはしわになっちゃうもの。掛けて置かなきゃ。」

「あぁ。はい。」

「ありがと♪」

彼女はいそいそと夫のスーツケースを開けて、衣類や靴を収めていく。

その間、彼はリビングで新聞を読んでいた。
米国の地元紙と全国紙に目を通す。

おもむろに彼は電話を取り、他にも新聞がないかと尋ねると
経済紙と他社の全国紙のがあると返答される。

「すぐ、お持ちします。」

「頼むよ。」



すぐに届けられる。

持ってきた者に明日以降も頼むと告げる。



リビングで彼は目を通し始める。
彼の日課は毎日、新聞に目を通すこと…
11歳の頃からの習慣。
英国にいるときは5,6紙に目を通す。





ファリアがスーツケースの荷物を片付け終り、彼のそばに行こうとしたが、
リビングでのその姿を見てベッドルームへと戻る。
ドレッサーの前のスツールに腰かけ、鏡を見つめる。

自分の変化に驚いていた。

リィを産んでから少し痩せて、ハリもなくなっていた肌。
それがここ2ヶ月ほどの間で綺麗になった。
それは…幸せな恋をしているからだと自分でも解る。


「ふう…」


手先を見ると少し前は荒れていたのに今は手入れをする時間も手間もあるから
綺麗になっている。少し伸びた爪に目が行く。
思い立ったようにホテルの館内案内を探す。

ドレッサーの引き出しの中にあった。

「えっと…あるわね。 どうしよう…行ってこようかしら…?」



とりあえずネイルサロンに内線で電話する。
すぐにでもOKと言われ、行くことにした。

「よろしくお願いします。」

「ところでお客様… 何号室にお泊りですか?失礼ですがお名前も…」

「あ、あの…スィートのパー…いえ、ランスロットと申します。」

「!! かしこまりました。お待ちしております。」

電話の相手が少しあわてていた様な気がした。
笑顔でスツールから立ちあがり、リビングへと向かう。


「…ごめんなさい、リチャード。」

「ん?」

新聞から目を離し、彼女を見る。

「ちょっと出てくるわ。1時間くらい。」

「何処に?」

「…B2のネイルサロンに。」

「サロン?」

「…じゃ、行ってきます。」

笑顔で行く彼女を見送ると
視線は新聞に戻る。




彼女はネイルサロンでパラフィンパックをしてもらってご満悦。
村にいたときは…なりふり構っていられなかったリィの為に…
なんでも自分でやらないとダメと村の女の人たちに教えられた。
どれだけ自分が裕福な家庭に生まれ育ったのか思い知ったのだ。

「今…私、いろんな意味で幸せなのよ…」


帰りのエレベーターの中で呟く。




「ただいま、リチャード。」

「あぁ、おかえり。どうだった?」

部屋に戻るとTVでニュースを見ていた夫。

満面の笑みで返事する。

「気持ちよかった〜。お肌も爪もピカピカよ♪」

「どれどれ…」

彼女の両手を取るリチャード。

「元から綺麗なのにこれ以上磨いてどうする?」

「あら…」

少し照れてしまう妻。
その顔を見ていれば抱きしめたくなる。
彼女の手を引き、自分の膝の上に座らせる。
突然のことに驚く。

「もう…リチャードったら…」

くすくすと笑う、そのあごを引き寄せキスする。

「ん…」

彼の両手はゆっくりとやわらかさを愉しむかのように彼女の胸に触れた。

「はん…」

唇が離れると耳元に熱い吐息をかけ、ぺろりと舐める。

「や…ぁ…ん…」

顔を真っ赤にして身体を震わせる。
たまらなく可愛いと感じた彼は我慢できなくなり抱き上げてベッドルームへと向かう。
新婚旅行の夫婦が泊まると言う事で花で飾られたベッドのシーツの上に下ろす。

彼の手はもどかしげに彼女の服を奪い、一糸纏わぬ姿に。
可憐なその身体にいつ見ても溜息が出る。


「あぁ…綺麗だ…美しいよ…」


彼も火照り始めた肌を感じて服を脱ぎ捨てる。

「ファリア… 愛してる…」

低く甘い声で囁かれ、彼女の心も身体も震えた。
彼の声で名を呼ばれるたびにときめきが走る。

「リチャード…私も…愛してる…」

熱くなる肌に夫となった彼の指が唇が愛撫を始める。

「あ、あン…」



彼は彼女の蜜の味が好きだった。
いつまでも舌先で掬い取っていたくなる。


「あっ…あん…やッ…あぁ…」

花芽を吸いたてられると強い快感が衝撃となって身体がびくびくと震える。


「あぁ、ファリア… いつも君は可愛いな…ここも…」


いつもより甘く低い彼の声が心地よくてたまらない。


「あッ…あン…」


彼のしなやかな指が2本突き立てられる。


「はぅんッ!!」

掻き回されると猛烈な快感が快感が走り抜けていく。

「やぁあ…んッ!!」

シーツを握り、涙を撒き散らす。
指を抜き去ると零れ落ちる透明な蜜。

「や…はぁ…ッ…」


熱い疼きを鎮めたくて、もっと強烈な刺激が欲しくて、腰をくねらせる。


「あ…リチャード…」

「…ん?」

「…ねぇ… 来てぇ…切ないの…」

「…。」

彼の手には再び白い乳房に触れる。

「や、そうじゃなくて…」

今度は淫靡な音を立てて蜜壺をかき乱す。

「はぁ…ん、意地悪… しないでぇ…」


軽く絶頂に達してしまう。


「はぁあああんッ!!」


ぴくぴくと震える華奢な白い身体をうっとりとした目で見つめる彼。
リチャードは屹立する己を沈める。

「う…はッ…あぁん!!  あぁ…ステキ…リチャード…」

「…ファリア…はぁ…」

初めてステキと言われ嬉しくなり、
自分でも熱くなる剛直が解る。
ゆっくりとした律動を始めた。
動きがもどかしい彼女。

「あぁん…もっと…もっとぉ…」

甘い声でせがまれ彼は細腰を捉え、自分の腰を押し上げる。

「はぁああん…イイ…リ…チャー…ドぉ…」

激しくなる動きで彼女の意識は完全に朦朧としていた。


「あ…あ…ステキ…いい…ッ ああん…イク…」


リチャードは初めて聞く喜悦の言葉に身悶えるほど嬉しくなる。
今まで何度抱いても貫いても聞けなかった言葉。
初めてのあの日、痛みしかあげられなかったことを後悔していた。
再会してから身体を重ねても得られなかった…

  (「イイ」「イク」…初めて…言ってくれた…「ステキ」とも…
   やっと…やっと…)


自分でも嬉しくて涙が溢れる。
無我夢中で打ち付ける。

「あぁあんッ!!」


子宮口を突き上げられた時、ファリアの視界は真っ白になっていた。
身体もわななき絶頂に達してしまう。
リチャードもまた腰から脳天まで衝撃が突き抜ける。
魂が飛ばされてしまいそうなほどに…

彼は失神してしまった彼女の上に倒れこんでしまった…




気づくと彼女の上に倒れこんでいることに彼は気づく。
慌てて下の彼女を見るとまだ失神したまま。
その上、自身がまだ彼女の中にいることが解る。

身を引き離し、彼女の右側に仰向けになる。


「はぁ…」

   (やっと…あの日の…後悔が救われた気がする… ありがとう…ファリア…)


ずっと心のどこかで焦っていた、何かが引っかかっていたことが解った。




横の妻を見ると静かな寝息を立てて眠りに落ちていくのが解る。
そっと腕枕する。
黒髪を指に絡ませ、顔を覗き込む。
汗で張り付いた髪を指先で外す。涙の痕も愛おしい。


   (愛してる…それに…恋してるよ…)



暖かな想いで瞳を閉じる。

彼もしばらくすると眠りに落ちていく―






To #20「honeymoon 〜2〜」
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(2005/7/5)



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