-17-   「in between」



朝と言ってももう10時を回ってた。
彼が起きると眠ったままの新妻。

「まぁ…仕方ない…か。」

明け方まで結局、抱いていた―



ひとりごちて その頬にキスする。

ベッドから降りて服を着て、電話で朝食の用意を頼む。

彼女の元に戻り、再びくち付けて舌で割って入る。



「……ん……」


「ファリア、起きて… 朝食、来るよ。」

気だるげに目を覚ます。

「もうそんな時間…?」



眩しそうに仰向けになるとはだける胸元。

彼は嬉しそうに微笑む。

「やっぱり、可愛いな…」

その視線に気づいてすぐに上掛けで胸元を覆い、身を起こす。

「え…? あッ!」

自分が何も来ていないことにやっと気づく。

「もう!リチャード!!」


彼は笑いながら隣のリビングへと歩き出す。


「服着ておいで。 もう来るから。」

「え… あ、はい。」


ドアの向こうに消えた愛しい夫。


すぐにベッドから降りて、クローゼットから服を出し、身に着ける。
リビングに行くと二人分の朝食が用意されていた。



「おはようございます。若奥様。」

「おはよう。」

メイドに言われる"若奥様" 。
式の前から言われているがまだ少し慣れない。



二人の食事が終わると…キャスリーン夫人がリィを連れてきた。
思わず嬉しくて抱き上げるファリア。

「おはよう。リィ…元気だった?いい子にしてた?
それにしてもいつこっちに?」

「夕べのうちでございます。リィさまは跡取りですから…」

「えぇ…そうね。  ほら、パパにもご挨拶。」


「やぁ…おはよう。」

優しい笑顔で息子を抱き上げる。
最近やっと言葉らしき言葉を話す。

「ぱぁぱ〜」


絵に描いたような幸せな光景の朝―




   ***


一家3人の時間を過ごす結婚初日。

穏やかな日差しの中、若夫婦と幼い子はテラスでほのぼのとしていた。



夫となったリチャードが想像していたのとちょっと違っていた―


さすがに夜8時にはリィは子供部屋のベッドで眠る。



彼はこれからが二人の時間だと思うと嬉しかった。

ベッドの上で激しく求める…

それに応えるかのように凄艶な花嫁―


   *


2日目も昨日と同じ様な朝。

昼はリィをはさんで二人は寄り添っていた。

彼の予定とは、やはり少し違う。


―夜 
前二日以上に激しい彼に戸惑いを覚える新妻―


「ちょっと…リ…チャードぉ… ゃあ…ン…」


彼女が失神しても続けられる行為…




   ***


―3日目

朝食の後、リィを連れてこなかったキャスリーン夫人。
母親の顔をしたファリアが子供部屋へと向かう。

リチャードが夫人に"部屋に連れてこなくていい"と告げたために部屋で眠らされていた。



子供部屋にいた夫人に尋ねる。

「ねぇ、どうして連れてきてくださらなかったの?」

「お休みでしたから…」

「…そう。」

すやすやとベビーベッドで眠る我が子を見て、納得した。

「仕方ないわね…寝る子は育つって言うもの。」

「そうでございますね。」

「あ、ねぇ、キャスリーン夫人… 彼の赤ちゃんの頃もこうだった?」

黒髪を揺らし、夫人に尋ねる。

「はい、それはもう。
よく寝て、よく食べておいででした。」

「そう…やっぱり一緒なのね…
乳離れはどうさせたの?」

「えぇ、それは…薄くカラシを塗って…」

「!!」

思わず噴出してしまったファリア。
その様子に驚く夫人。

「若奥様?!」

「そこまで一緒だと…笑っちゃうわね。」

「リィさまもカラシ…でなのですか?」

「そうよ。この子…結構小さく生まれてきたのに…よくお乳飲んで
すぐ標準になっちゃったのよ。」

「お生まれになた時、何グラムで?」

「2855グラムよ。…すこし小さいでしょ? 男の子なのに…」

「えぇ、そうですね。」

「予定日より2日…遅かったのに。 私のせいね。」

「…え?」

「私、あまり食事の量多くないから… 栄養が足りなかったんじゃないかって…」

「…若奥様…
あなたさまも細くていらっしゃるし、リチャード様も。
ですから…おかしくはないですよ。そもそもリチャード様も少しお小さかったですよ。」

乳母だからこそ知っている彼の生まれたときのこと。

「…え? そうなの?」

「…確か…2970グラムだったと。」

「確かにそうね…」

「ですからリィさまと同じです。 よくお乳を飲んでいらした。
メアリ様…細くていらして、あまりお乳の出が…」

「…そうだったの…」

眠るリィを抱き上げる。
ずっしりと重くなってきていた。

「小さくお生まれになって…大きく育つ。いいことです。」

「彼見てたら解る気がするわ。」

「でも…リチャード様…細くていらっしゃるでしょう?」

「そんなことないわよ。腕も胸板も…筋肉質で逞しいわよ。」

「あら? そうなんですか?」

意外な返答にファリアは驚く。

  (今の彼を…一番知っているの、私なんだわ…)


途端に恥ずかしくなり、照れてしまう。





彼女がなかなか戻ってこないので迎えに来たリチャード。

子供部屋をノックし入る。

「…ファリア?」

「…はい?」

「何やってるんだ?」

彼女の腕の中でリィが眠っていた。

さっきの自分の言葉を思い出すと照れ臭くて視線を外す。


「ごめんなさい…リィが…」

溜息の出るリチャード。

「リィが僕達の子で…大切なのは解ってる。
でも僕のそばにもいてくれないか?」

「…はい。」


3人でリビングへと向かう。



長ソファに並んで腰を下ろす。

彼は子を抱いたままの妻のあごを捉えキスした。


「…んッ…」


少し唇が怒っていると感じた新妻。
唇を彼にゆだねる。
彼の手が黒髪の中へと入り、髪を撫で上げる。

「ふ…ぅ…ん…」


リチャードは唇を貪りながら切なさを感じていた。

  (本当なら… ベッドに連れて行きたいんだけどな…)


息子を抱いている彼女を連れて行くことは出来ない。

新妻は夫の葛藤にまったく気づいていなかった。






邸の大時計が12時を告げる。離れる唇。

「あ…」

「…リィに食事させたほうがいいだろう?」

「…えぇ、ありがとう。」

夫婦の部屋のリビングを出て、子供部屋で食事を与える。
彼はその様子を見守っていた。

自分の花嫁が既に母親だと思うと少し複雑なものがあった―


それを終えると夫婦揃ってのランチタイム。


なんとか離れることが出来たと思ったら、リィが泣き出したとかでまた呼ばれていく妻。




   ***


―夕方

やっとリィから離れた彼女が夫婦のリビングへと戻ってきた。

「ごめんなさい。やっと…眠ってくれたわ。
あとはキャスリーン夫人に任せてきたの。」

「…そうか。」

夫の怒っている気配を気にしてソファに腰を下ろす。


「明日から…アメリカだ。10日間、あの子のそばにいてやれないからな…
ちゃんとしてやれ。」

意外な彼の言葉に目を丸くする。

「…はい。」

「明日の朝は早いから、早く休もう。
夕食、もうすぐ来るよ。」

「え…はい。」


彼の口調は穏やかで怒っている感じではない。
安心した彼女はほっとした。


しばらくしてメイドたちが夕食を運んできた。
二人だけの食事は静かに過ぎていく…





   *

「早く休む。」と言って夜9時には寝室へ。

しかし彼は妻を抱く。

寝室に甘い喘ぎ声が響く。


「やぁ…ん… リチ…ャード…」


今夜くらいは自制しようと思っていたが、昼間全然そばにいなかったから
ついいじめてしまいたくなった。

「やぁあ… あん…」

肌を滑る唇。蜜壺をかき回す指。
体中が疼き、切なく身悶える。

「ぁん…リチャード… ねぇ…」

「ん?」

上目遣いで見られ、硬くなる自身がわかる。

「ねぇ…」

冷静を装い問いかける。

「どうして欲しい?」

「え?」

「どうして欲しいか…言って。」

彼は少し命令口調。

「あ…」

まだ少し恥ずかしくて言えない。
けれど身体は欲している。
もう限界に近かった。
か細い声で哀願するファリア―

「お願い… 来て…」

切なげに腰をくねらせる。
ふうと溜息をつくリチャード。
もうちょっと焦らしたかったが自分もそろそろ限界を感じていた。

「あぁ。」



逞しく熱い夫に貫かれ、背を仰け反らせる。
彼の目に映る、妻の姿はたまらなく色っぽい。
自分も我慢していただけに強烈な快感が腰から脳天に突き抜ける。

「くッ…はぁ… イイよ… ファリア…」


「あぁん…」

埋め込まれただけでも気持ちいい。

彼が律動を始めるとあっけなく絶頂へと達してしまう。
そのうねりをモロに受け、彼もまた快感に飲まれていく。

そのまま、失神してしまった妻の身体の上に倒れこむ…





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(2005/7/5)



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To Love Sick