-14-   「birthday 」




翌日―9月1日

この日、ファリア19歳の誕生日


身内だけで彼女の誕生日を祝う。


家族と彼とランスロット公爵夫妻。


昼にみんなに祝われ、プレゼントを渡される。



一番意外だったのはやっぱりリチャードからのプレゼント。




父からは南仏の別荘の権利書。それはかつて母が所有していた別荘のもの。
祖父からは新しい馬。
祖母からはダイヤのネックレスとピアス。
弟からは香水。
ランスロット公爵夫妻からはショパールの腕時計。

リチャードからは…ワンピースとそれにあわせた靴とアクセサリー。
それに…知育玩具2種。


「って、何で…?」

ファリアの疑問も当然。
周りの家族も同様に。


「0歳も1歳もリィの誕生日祝ってないだろ?だから2年分。
来年に3年分とも思ったんだが…目に付いたから。」

「あ、ありがとう。  よかったわね、リィ。
パパがあなたにも選んでくれたのよ。
あと2年くらい置いておこうね♪」

彼女の言葉に思わず戸惑う。

「…え?! 何で?」

「ねぇ…コレ見た?」

彼女が指さす箱の側面。

”対象年齢 3歳以上”
思わず見てなかったことに気づく。


「あ、あはは。 見てなかったよ。」

思わず恥ずかしくなる彼に母メアリが呆れたように言う。

「もう…リチャードったら…何やってるの?」

周りの男たちは同情していた。

「リチャード君。私も…ファリアが産まれた時に同じ事したよ。
覚えがある。」

「そうですか…あはは。」


和気あいあいとした和やかな空気の中でのパーティとなっていた。





夕方5時を過ぎるとリチャードの両親が帰っていく。
父もありステアを連れてその部屋を出た。
祖母がリィを抱いて出て行く。
祖父もまたリチャードに囁いて退室する。

"リチャード君、あとよろしく。"
"え… はい。"



最後に二人だけ―


   (みんなが気を利かせて二人だけにしてくれている―)と言う事に気づいていても口にしない。


「ねぇ、リチャード。私の部屋行きましょ?」

「あ、あぁ。」




彼女の部屋に行くとシャンパンがリビングのテーブルに置かれていた。

 "Happy Birthday"のメッセージカードと共に。

それは使用人一同からとなっていた。



「あぁ、みんな…ありがとう。」

思わず泣いてしまう。


リチャードが開けて注ぐと間接照明の光できらきらと光る泡。


「改めて Happy Birthday。ファリア…」

「ありがとう。リチャード。」


チンとグラスを鳴らす。
くーと一気に飲み干す二人。


「リチャード… 19歳の誕生日をみんなに…あなたに…祝って貰えるなんて…
2ヶ月前には想像できなかった。 …ありがとう。私を探してくれて…
見つけてくれて…」

「…ファリア…」

溢れる涙を止められない彼女をそっと胸に抱き寄せる。

「僕も…君にこうして逢えて…嬉しいよ。
それに僕をずっと愛してくれていた…」

彼女は彼のエメラルドの瞳を覗き込んで言う。

「私、一番の贈り物…とっくに貰ってる。」

「え?」

「リィよ。私の…いいえ、私たちの…宝物よ。」

「あぁ。そうだ。 僕達の…」


唇を重ねる二人。

彼は彼女を抱き上げ、ベッドルームへ運び、白いシーツの上に下ろす。
見つめあう二人の耳に…響く電話の音。

「「!!??」」

無視したくても無理。
なんせ部屋の電話だ。
仕方なく部屋の主の彼女が出る。

「はい?」

「申し訳ありません…お嬢様。」

電話の主は執事頭のジェファーソン。

「リチャード様に…大至急の連絡です。…連邦政府から。」

その言葉で一大事と一瞬で理解する。

「解ったわ。すぐに変わるわね。」

受話器を押さえ彼に告げる。

「リチャード…連邦政府から…大至急の連絡ですって。」

「何?!」

一瞬で顔色が変わる。
彼女から受話器を受け取るとますます険しくなる彼の表情。



「はい…はい。わかりました。
本部に集合ですね。了解しました。」


凛々しく逞しい…彼の横顔。
電話を切ると目の前には険しさと怒りの混ざった表情のリチャードがいた。


「ファリア…すまない。 行かなくてはならなくなった。」

「デスキュラね?」

連邦政府からの連絡と言えばそれしかあるまいと理解していた。

「あぁ。あいつら…やっぱり裏切った。
火星を襲っていると言うことだ。」

「何ですって!?」

TVをつけるがまだ一般報道はされていないようだった。




「すまない… 結婚式、延期になるな。」

「いいの。気にせず行ってきて。
私とリィは待ってるから。
無事に帰ってきてくれるだけで十分よ。
…無理しないで、気をつけて。」

「あぁ。行ってくるよ。
君とリィを守るためにも。」

ベッドルームを出ようとする彼に抱きつく。



「リチャード、愛してるわ…」
「あぁ。僕もだ。…愛してる。」

重なる視線。
彼にそっとくちづける。

「…ご武運を…」

キスを返す彼の唇。


離れたくない離したくないと思いつつ彼は部屋を後にする。



旅立つ青年の顔は…11ヶ月前とは違う強い想いを抱いていた。




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(2005/6/20)

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