-7- 「angel」
ビスマルクのダイニングに子供三人と赤ん坊二人と
ファリアを加えたビスマルクチームが座っていた。
子供達にココアを作るマリアン。
嬉しそうにこくこくと飲みだす3人。
「ごめんなさい…ミルクあるかしら?」
金髪の美少女に問いかける。
「あるけど…哺乳瓶が…」
「そうよね…スプーン貸してくださる。できれば金属でないものを。」
「えぇ。」
陶器製のスプーンを差し出す。
「ごめんなさい。この子、抱いてて。」
いきなり我が子を渡されるリチャード。
彼女と同じ瞳でじっと見上げられる。
抱いたとたんに愛おしさが生まれた。
何処かで解る…自分の血を受け継いでいると。
彼女はサラを抱き、スプーンでミルクを口に運ぶ。
「へぇ…」
マリアンはその様子を見ていて微笑む。
自分もいつかこういう風なママになりたいと思う。
ルースが何気に問いかける。
「ねぇ、フェアリーママのおっぱいは?」
「残念ながらもう出ないのよ。」
にっこりと幼い少年に微笑む。
マリアンがちょっと驚いていた。
困惑するファリア。
「え…?」
「ねぇ、あなた。ママなの?」
「そうよ、この子のね。」
リチャードが抱いている金髪の赤ん坊を指す。
「本当に?」
「えぇ。」
「いくつで産んだんですか? 私とそう年、変わらないでしょ?」
「えっと、17歳と8ヶ月で。」
リチャードは頭の中で計算していた。
「…確かに僕の子だね。」
「「「!!?」」」
3人はリチャードの発言に目を丸くする。
「…改めてみんなに紹介するよ。
僕の恋人で許婚の…ファリア=パーシヴァルだよ。」
頭を下げる黒髪の乙女。
「で、僕の子の…?」
「リィよ。1歳3ヶ月になるわ。」
唖然とする三人を放置して二人の会話が始まる。
「それにしてもなんで”リィ”なんだ?」
「…私、ひとりでこの星でこの子を産んで…
もう2度とあなたに逢えないって…地球に帰れないって思ってたの。
だから最初は”リチャード”にしようかと思ったけど…やっぱりって思って…
それで”リィ”って。」
「は…なるほど。」
彼女の悲しい想いを察して納得した。
やっと我を取り戻したビルが彼に詰め寄る。
「に、し・て・も! リチャード! お前、一体いくつで父親なんだ?」
「…18歳か。」
「はぁ…」
平然と応えられ脱力する。
「なんでさっきからなんでビルひとりで興奮してるんだ?
な?マリアン、そう思わないか?」
「そうよね…」
意外と落ち着いているマリアンと進児。
「つーかお前らのほうが変じゃねーかよ!!
大体どうしたら子供が出来るか知ってるんだろが!?」
リチャードが静かな声で言い出す。
「ビル。それ以上の発言は止めておいてくれないか?」
「何で…?」
「…子供達がいる。」
「え?あ!」
ふと気づく。
じっと見つめる汚れのない幼い子供の目が6つ。
「…悪かったな〜。」
***
ビスマルクチームからの連絡を受けたセレス星からの救援艦が到着した。
「…ファリア。君は地球へ帰ってくれ。」
「…はい。」
「君の父上とローレン卿と僕の父上に怒られるのは僕だから…心配しなくていい。」
「…はい。」
「それから…僕が帰ったら、すぐに結婚だ。
それにリィの出生手続きを…」
「…はぃ…」
嬉し涙で声がまともに出ない。
「すまない。苦労させて…待たせることになって…」
リィとファリアを一度に抱きしめる。
「いいの…いいの…。私こそ…。」
救援艦に乗り込む彼女と子供達。
生き残った子供達はセレス星の施設に行くことになった。
ファリアはリィを抱いて艦の窓からビスマルクマシンを見つめる。
まさか彼が自分を探していてくれていたなんて思いもしなかった。
再会できるなんて想像出来るはずもない状況にいたから、
とてつもない嬉しさに包まれていた。
艦はセレス星へ―
リチャードはビスマルクマシンに乗り込む。
マシンは一路、火星へと。
ビスマルクマシンの中でリチャードは進児とビルに突っ込まれていた。
「それにしても…何で…」
進児が呟く。
「子供の頃から好きだったし…自然な成り行きというか。
ま、婚約もしていたしな。」
「で…今、1歳3ヶ月のパパかよ!!」
彼女に再会できた途端、父親になってしまった自分に驚いていた。
「自分でも驚いているさ。行方不明となっていた彼女がひとりで産んでいたなんて…」
「”アテナU号事件”だっけ…」
進児がまたも呟く。
「あぁ。」
「よく生きてたな…彼女。」
「でも僕は死んだと信じていなかった。ただ行方不明なだけだと…信じてたから。」
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(2005/6/4)
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