| 夜の妖精 -3− |
デスキュラの巨大メカを倒し、安堵したビスマルクチーム。 そのコクピットのレフトコンソールのシートにはいまだに彼女を抱きかかえたままのリチャードがいた。 落ち着きを取り戻したビルはライトコンソールを飛び出し、レフトコンソールへと近づく。 「おい!リチャード! 一体どーゆー事なんだ???せつめーしろ!」 リチャードはレフトコンソールから立ち上がり、彼女を横に立たせる。 「実は… あの村で再会したんだ。彼女と。」 「はぁ??」 「彼女は僕の許婚のファリア。」 「なんだってぇ!マジかよ!!」 「本当なのか?」 「そうだったの…」 3人がそれぞれに思った言葉を口にする。 「え…リチャード。私は…死んだことになっているのじゃなくて?? あれから5年もたっているのよ。」 「いや、君の父上にも祖父のローレン卿にも理解してもらっている。」 「そ…そうなの?」 「おい!マジで婚約者だって事なのか?」 いいムードの二人に突っ込むビル。 「ああ、そうだ。それとも恋人って言ったほうが適切か?」 ビルに告げるだけでなくファリアにも確認するように彼は言った。 赤面するファリア。 「あのさ…『再会』っていうけどどういう事なんだよ?」 ビルは素朴な疑問を抱いていた。 「彼女は『アテナU号』の行方不明者だった… 今日までだが。」 「!!!!」 3人は驚く。 「『アテナU号』ってあの? 事件の当事者ってことか?」 「ああ… そして偶然、いや必然的に今日、彼女を見つけることが出来た。」 「見つけた??」 「そう…あの村に似合わないピアノの音…あれがなければ僕は解らなかっただろう…」 「! あれは… 私が幼いころから練習してきたショパンのピアノソナタ第3番……それのこと?」 「ああ、あの音で気付いた…」 「そうだったの…」 「それだけじゃなかったけど…」 彼の視線の先では胸元のペンダントが揺れていた。 リチャードはふと気付いた。 彼女の左脚にレイガンの火傷の跡が。 「! ファリア…その脚…」 「あぁ、さっき逃げてくるときにかすったみたいなの。大丈夫よ、痛くないもの。」 すっと顔色を変えるリチャードに彼女は戸惑う。 「マリアン、すまないがファーストエイドキット(救急箱)を!」 「う、うん。」 リチャードはさっさと彼女を抱き上げてリビングのソファまで運び、その怪我を見る。 ドアから進児とビルが覗き込む。 彼女が思っている以上に怪我は深刻だった。 紅くうっすらとただれている。 マリアンがあわてて持って来たキットからスプレーを出す。 紅くなっているところにスプレーをかけると彼女は小さく呻く。 「大丈夫か?」 「え…えぇ。少し沁みたの。」 「レイガンの怪我を甘く見てはいけない。」 「…はい。」 その二人を見守っていた進児、ビル、マリアンはその雰囲気に飲まれていた。 ****************** 一行は報告も兼ねてドメス将軍の治める東部地区・ガニメデリアへと向かった。 ドメス将軍の前に出された5人。 「ドメス将軍。やはり情報は正しいものでした。」 「うむ、やはりグレン村はデスキュラの巣窟となっていたようだな…」 「はい。しかし今回は彼女のおかげで判明したのです。」 「彼女…というとリチャード君の横にいる黒髪の乙女かね?」 「はい。」 「お嬢さん。あなたはあのグレン村で暮らしていたのか?地球人で???」 ドメスは率直に問いかける。 「はい。そうです。ドメス将軍。」 「失礼だがお名前は?」 「申し遅れました。私、地球は英国出身のファリア=パーシヴァルと申します。」 「…! 確か…パーシヴァルというと英国王室庁の?」 「えぇ、父はアーサー=パーシヴァルです。」 「そうだったのか… ん?しかしビスマルクチームのメンバーと面識はあったのかね?」 「それには僕が答えましょう。彼女は僕の幼馴染で許婚なのです。」 「ほう…そうだったのか。どうりで。」 ふと気付くとファリアは脚が震えていた。 レイガンの火傷がちりちりと痛み出していた。 「ん?彼女は怪我をしているのか?」 「はい。」 彼は駆け寄り、彼女を支えていた。 「それでは病院へ送らせよう。レアゴー!」 奥からレアゴー隊長が出てきた。 「なんですか?将軍。」 「こちらのお嬢さんを病院へ送って差し上げろ。丁重にな。」 「はい。」 リチャードはまだ報告があったため残ることに。 レアゴーに付き添われて病院へと連れて行かれた。 4人は状況報告&結果報告。 そしてリチャードは5年前に彼女の身の上に起こった事件を話した。 一方、病院ではレイガンの火傷の治療は勿論、全身の検査を受けることになった。 報告を済ませたリチャードが病院へと向かう。 彼女が検査結果を待ってロビーにいるとリチャードがやってきた。 笑顔で彼を迎える。 「リチャード。」 「よかった…。もう終わったのかい?」 「いいえ…まだよ。検査結果を聞くために待っているの。」 「そうか。 …僕も聞いていいかな?」 「えぇ。」 その時、看護婦が呼びに来た。 医師は怪訝な顔をしていた。 「彼は?」 「私の…許婚です。」 「そうか、それならば構わないが。」 ?となる二人。 「ほとんどの検査結果は問題ない。ただ…」 「ただ??」 「血液検査なのだが、普通ではありえないものが検出された。」 「一体何なんです?」 彼が心配そうに尋ねる。 「それが…」 ちろと彼女と彼を見る医師。 「それがだね、一種の幻覚剤というか…媚薬というか…」 奥歯に物が挟まったような口ぶり。 「!」 リチャードにはそれが何なのか、そして何のために検出されたのかが解った。 「先生、身体に有害なのですか?」 「今の数値だと そう害の或るものではないが…」 「先生、すみませんがこのことは外部に絶対出さないようにしてください。 彼女の名誉にも関りますから…」 「もちろんだ。私には守秘義務があるからね。」 病院を後にした二人。 BACK/NEXT _______________________________________________________________ あとがき(2004/11/13) 何故か連載(?)。 前2本を書いた後、不完全燃焼だったので続きを書き出したら 出るわ出るわ(笑) アダルト上等〜! 今回全然R18じゃないですな(笑) |