temptation -1-
*注・設定的にはfrou-frouのです*
辺境のフルシーミ星の鉱山の村・カクサのバーの歌姫・フェアリーの評判は
星内だけに留まらなかった。
近隣の星にまで美貌の歌姫の噂は流れ出していた―
この星に暮らす男たちのほとんどは
彼女のステージを1度でも見ていないとバカにされるほど。
異星人デスキュラはフルシーミ星のエネルギー鉱山と歌姫に目を付けた。
鉱山は戦争には膨大なエネルギーが必要なため。
ある作戦の為に歌姫を拉致し、地球人の村や町は壊滅させられた。
全ての指揮を執っていたのは…親衛隊・ペリオス―
「おい!! 地球人の男を虜にするというのはお前だな?」
不躾に問いかける男にぷいとそっぽを向き応えない乙女。
「貴様! 殺されたいか?!」
キッと がなる男を睨む深い蒼の瞳。
「殺したければ、殺しなさい! あなたたちが私の両親を殺したように…」
思いがけず抵抗する乙女を目を細めて見つめる。
「簡単には殺さないさ。お前には利用価値があるからな!」
「そんなこと…ないわ。」
「いいや、なんとでもなる。」
不敵な笑みを浮かべたペリオスは部下の兵士に乙女の手足を押さえさせる。
乙女の耳穴に小型の機械を押し込む。
「いやッ!! 何するの?」
くっくっと冷たく微笑む怜悧な美貌の異星人の男に戦慄を覚える。
5分も経たずに瞳から力が抜ける。
耳穴の小型の機械から催眠電波を送りこまれた。
手足からも力が抜ける。
もう自分の意思はなかった。
「いいな… この男たちを誘惑して殺せ!!」
乙女の目の前にはビスマルクチーム3人の写真―――
***
―セレス星
乙女は3人の男たちに追われていた。
「いや…来ないで!」
走って逃げる先に輝 進児。
「助けて!助けてください!!」
駆け込んできた乙女に驚く。
追いかけてきた3人の男たちは進児に叫ぶ。
「おい!女をこっちによこせ!」
正義感の強い進児は乙女と男たちの間に立つ。
「何だ!?お前達は… 一人の女性に3人とは…」
力で奪い返そうとする男たちだったが、進児の一本背負いであっけなく倒される。
仲間を置いて逃げ出す2人。
進児は振り返り乙女に声を掛ける。
「大丈夫かい?」
「えぇ、ありがとう。お強いんですのね。」
「いやぁ。」
進児は助けた乙女を真正面から見て思わず戸惑う。
黒髪の美しい乙女に褒められ気分がいい。
「あ…あの、お礼をさせていただけませんか?」
「そんなこと、いりませんよ。じゃ、気をつけて。」
立ち去ろうとする進児。
背を向けた瞬間、驚き目を開く。
乙女がナイフを背に突き立てていた。
生温かい血が流れるのを感じる。
「う…お、お前…デスキュラ…?」
倒れこむ進児からナイフを抜いて乙女はふいと走り去る。
意識があるうちに進児は何とか自力でマリアンに連絡する。
「デ、デスキュラに刺された…」
駆けつけたマリアンたちは驚く。
「進児君! しっかりして!!」
リチャードが応急処置をして病院へ搬送される進児。
傷は思ったよりも浅く、命に別状はないということだった。
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(2005/6/22)
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