summer days  -4-






昼はまた海に出る。
エドワードもアーサーも船舶免許を持っているので中型ヨットを操舵する。

メアリ夫人は辞退したため4人―



ヨットを沖に出し、錨を下ろしてのんびりする。


ゆらゆらと漂う船の揺れが心地いい。

甲板の日陰で少女は昼寝をしていた。


父たちも船の後部でうたた寝をしている。

リチャードだけが起きていた。


つい少女の横に腰を下ろして見つめていた。
こんなにじっくり見たのは初めてかもしれないと感じている少年。



  (あ…)

自分より一回り小柄な少女。


水着の上にTシャツを着て眠っていた。
自分とは全然違うことに気づく。

艶やかな流れる黒髪
白い肌に揺れる長い睫毛
可愛いつんとした唇




無垢に眠る少女を見て心臓がどきどきするのがわかる。
昨夜は暗い室内でよく解らなかったのだ。


  (ファリアっていうか… 女の子って…なんか…違う…?)


顔だけじゃなくて全身を見てもわかる。
白い華奢な手足。



触れたくなる衝動に駆られる。
そっと手を伸ばすと少女の口から小さな声。


「…う…ん…」

思わず手を引く。
覗き込むとやっぱり寝ている。


「…やっぱり、寝てるね…」


ほっと安堵した。



船の後部でうたた寝していた父たちが起きたらしく、大きなあくびをしている声が聞こえた。



「おーい! リチャード!ファリア! そろそろマリーナに戻るぞー!」

「は、はい!!」

リチャードが思わず大声で返事すると目の前で眠っていた少女が目を覚ます。

「ん…もう、戻るの?」


目覚めた少女は目をこすっていた。
すぐそばにいた少年に声を掛ける。

「あれ… リチャード? どしたの?」


少し頬を染めた少年に問いかける。

「なんでもないよ。」

「そう?」



向こうで父たちが呼んでいた。
駆けていく少女を追いかけていく。





少年が少女を異性と見始めた頃だった―――





Fin

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(2005/6/16)
(2015/04/29 加筆改稿)


*あとがき*

唐突に出てきた子供時代編。
お互いを異性と見始める頃…ってこのころかなと思い
書き出すと結構、書けること書けること。
ははは〜


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