metamorphose -1-




「何とか勝てたな…」

「あぁ…」

進児とビルの呟くような会話。
目の前には 倒したデスキュラ巨大ロボの残骸が漂っている。


しかしビスマルクマシンの被害も甚大。


リチャードがインテリジェンスシステムで全体をチェックする。

「こちらの損傷もかなり受けてる。。 一度火星基地に入るべきだな。」

「そうか、解った。
オートにして火星に向かおう。
俺たちも休もうぜ。」

「あぁ。」


4人は疲れた身体を横たえ休む。。。
それは戦士たちのしばしの休息―







   *****




あと1時間半ほどで火星につく頃、進児が目を醒ました。

「ふあぁ〜、よく寝た〜。
さて、ビルのヤツでも起こしてやるか。」

進児は中段のビルを起こしに掛かる。
たいていリチャードは先に起きている事が多く、
すでにリビングに行っていると思っていた。

「おい!! ビル!! ビル〜!!」


爆睡していたビルはなかなか起きない。
下の段でビルを起こす声で目覚めたのは最上段のリチャード。



「進児〜、せっかくいい夢見てたのによ…」

まだ眠い目をこすっているが、身を起こす。

「何だよ、お前のいい夢って…
どうせ、女の子のことだろ?」

「解る?」

「…ワンパターンなんだよ。」


いつもの光景がそこにあった。


リチャードは身を起こしてみて、異変を感じた。
手が袖の中にある。

「え…?」


たくし上げてみると、明らかに子供の手。
その手で自分の顔に触れてみる。

「え? え?」

困惑していると…進児とビルの声。


「リチャードのヤツ、珍しいな。。
まだ起きて来ないのか?」

上段に彼の気配を感じて2人は呟く。

「さすがのリチャードも疲れてたんだろ?
おーい、リチャード。
もう起きた方がいいぜ。」


進児が最上段を覗き込んだ。
目の前にいるのは…7歳ぐらいの男の子。

「って!? え…リチャードは??」

「リチャードは僕だ!!
一体何が起きているんだ、進児!!」

「嘘だろ!?」

進児とリチャードの叫ぶような会話を聞いて
ビルも覗き込む。

うあ〜〜!!?? 何だよ!! リチャードの隠し子かよ!!」

「馬鹿を言うな!! 僕がリチャードだ!!」


彼の叫びに進児もビルもただ唖然とするだけ。

彼がベッドから降りてくるとパジャマの上だけだが
ヒザ近くまで丈がある。

「って、マジでリチャードのパジャマ着てるし…
髪も顔もリチャードのガキって感じだな。」

「あぁ…」

「目が覚めたらこうなってたんだ…」


まだ唖然としていた進児がボソリと言う。

「火星基地に着いたら…病院入って、原因究明だな。」

「そうするしかねぇようだな…」

「このままじゃ、プロテクトギアも着れない…」

小さなリチャードを目の前に、2人はただ今の状況に驚くだけ。。。


「あぁ、とりあえず、飯にしようぜ。
俺、腹減った。。」

ビルはさっさと身支度をして部屋を出て行く。


リチャードには着れる服もないので
進児がマリアンにTシャツと短パンとスニーカーを借りて来る。
マリアンのサイズでぴったり。


ダイニングに入った途端、マリアンの開口一番。

「やっだー!! 可愛い〜!! リチャード、どうしちゃったの??」

好奇心丸出しのマリアンの問いかけに何とか応える。

「…目が覚めたらこうなってた…」


いつもと違う子供のリチャードはマリアンから見ても 小さくてまるで弟のように可愛く見える。




   ***


食事を終えて、しばらくして…火星に到着し、連邦軍基地に入る。

マシンはすぐにドッグ入り。。。

4人はとにかく、基地指令官のところへ報告に行く。


基地指令官もリチャードの変わり果てた姿に目を丸くした。

「君がリチャード=ランスロットくんか?」

「はい。
外見はこうなってしまいましたが、中身は19歳の僕です。」

「…そうか。」

目の前の現実にただ驚くだけ。。。


「このままでは任務に支障をきたすので
原因究明をお願いします。」

「そうだな。 
とりあえず、マシンも整備中だし 早速、軍病院のほうへ行ってくれたまえ。」

「はい。」

「あぁ。 それから整備班からの連絡だと
装甲と管理システムに異常が見つかったとかで
72時間ほど時間を要すと言う事だ。」

「「「「そんなに?!」」」」

「あぁ、特に装甲は脆くなっていたそうだからな…
その間に彼のことを何とかしてくれたまえ。」

「はい。解りました。
僕たち3人は宿舎に リチャードは病院に入ります。」

「うむ。そうしてくれ。」

「「「「はい。」」」」


ビスマルクチーム一行はとりあず、
リチャードの身体のことを検査してもらうために軍病院へ。




   ***

彼は全身検査を受ける羽目に。




あらゆる検査の結果、異常は特に発見されず
健康な7歳男児との結果。。。





診断結果に4人は溜息。。。。

「どうすんだよ。 
見かけは子供、頭脳は大人ってしゃれになんないぜ?」

「う〜ん。。。。 リチャードがプロテクトギアを着られないのはキツイなぁ。。」

「可愛いだけじゃ、任務は務まらんよ。」

「ビル…そういう言い方は気に入らんな。」

リチャードはむっとした顔でビルに突っ込む。

「何かな〜?? リチャードちゃん♪」

にっと笑うビルにカチンときた彼は飛びかかろうとするが
手で頭を押さえつけられ、触れることすら出来ない。


「ビル!!貴様!!」

「そういう言い方、子供らしくないなぁ〜。
可愛いリチャードちゃん。」


ケラケラと笑いながらそう言ったビルの急所に蹴りを入れる。


「!?」

声にならない悲鳴を上げて、手で押さえるビルを見て
少々気の済んだ彼。。。

「からかうの止せよ、ビル。」

「そうよ。
一番不便で可哀相なのは本人なのよ。」

「…う。」

ビルは少々やりすぎたかと反省する。
急所を蹴られたのであいこだと。。

進児とマリアンの言葉に微妙な面持ちの彼。。。


元に戻れるか保証はない。
不安でしょうがない。。。


「なるようにしかならないさ。
なぁ、マリアン?」

「うん。進児君。。」

「最悪の場合、プロテクトギアは今のサイズで用意してもらえばいいさ。」

進児は腕を組んで言う。
そんな進児にビルは突っ込む。

「ドナテルロに跨れるのかよ?! 剣を揮えんのか?」

二人の言葉を聞いて、彼は呟く。

「なんとかなるだろう。 そう信じるしかないだろ?」

もうこの状況ではそう思うしかなかった…


リチャードは病院から出るとマリアンに付き合ってもらって
今の身体に合うサイズの服を買いに行くことに。。




to -2-

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(2006/3/2)



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