kitten -1-




ラーン王国はここ200年ほど平穏で平和な国である。

国王エドワード5世は賢王と名高く、民からも慕われていた。
王族ももちろん。

国の後継者である皇太子・リチャードは文武両道で知られ、民からも支持されていた。
まだ18歳だというのに政務も精力的にこなしている。

今日は親衛隊隊長・進児とともに国の西部地方を視察に出かけていた。


その帰り道。
街道では人や馬車が行き交っている。

しかし、森の横を通る街道に人影はほぼいない。
通るのは馬車か馬に乗ったものだけ。

それというのも、山賊を恐れてのことだった。

最近、被害が少なくなったとは言え、まだ出没している。
そのほうが賢明であったからだ。



皇太子と親衛隊隊長の馬の前に二つの影が飛び出してきた。

二人は慌てて手綱を引くが間に合わない。

二つ目の影が空に舞うのが見て取れた。


馬を止め、二人は影の正体を確認する。

馬に蹴られ吹っ飛ばされた影は大型の野犬。ほぼ即死状態。

そして、一つ目の影は…街道の端でうずくまる薄汚れた子猫であった。

ぶるぶると震え、怯えきっている。

「かわいそうに…野犬に追われて街道に飛び出したんだろう。」

「そうでしょうね。」

皇太子の言葉に親衛隊隊長はうなづく。

そっと手のひらで包んで持ち上げる。

その小さい子猫に心動いた皇太子は懐に入れる。


「宿屋に着いたら、診てもらおう。」

「そのほうがいいでしょう。」


二人は騎乗し、宿のある街へと向かう。



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(2013/02/11)
いや〜…久々に書き出しましたよ♪
しかもファンタジー系ですv
さぁ、頑張って描きますよ!!


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