Kismet  -1-


このビスマルク大陸で一番の大国・東にあるラーン王国

近年、軍事力を持って領土を広げている…



その軍を率いているのが国王・エドワード自慢の皇太子・リチャード。
彼の頭脳と決断力は並の軍人には及ばないほどだと評判されている。

軍司令官を務める皇太子の傍らには参謀としてドメス将軍と
双璧をなす輝大佐とウィルコックス大佐の3人がついている。

この4人で総勢300名ほどの兵を率いて西に進軍していた。





何度かに分けて大陸を遠征してきたがついに大陸の西端までやってきた。

目の前には小国・アイリス…


いつものように、城下町に偵察兵を出し
国内の内情や王家の情報を集めさせる。





1日かけて集めた情報によると
平和な国で軍自体すら存在しない国…


大軍で攻め入って無駄な血を流したくないと判断した皇太子の言葉に
参謀3人も同意。

自分と輝大佐だけでアイリス国王城に向かう。




門衛に名を告げると 彼らは泡くってしまう…
いくら平和な国でもラーン王国の進軍の噂は流れていた。





玉座のある大広間で謁見となる…



   ***



「あなたの国に軍事力がないのは知っている。
私もただ殺戮をしたいわけではない。
出来ればコトは穏便に済ませたいのだ。」


大広間中央に立つ皇太子の存在感は国王であるアーサーを圧倒する。

彼は黒の甲冑に身を包み、濃臙のマントを纏っていた。
評判どおりハンサムではあるが何処か冷たい印象を抱くものが大半。

アイリス国王は決断を迫られる。


「…わかりました。」

「それでは、これにサインが頂きたい。」

「はい。」


"黒の皇太子"とあだ名され、ビスマルク大陸を侵略し続けてきた皇太子に告げられ、
従うことにした。
自国に兵力をつけないほどに平和で穏やかな国・アイリス。




サインを終えた国王は悲痛さを押し殺して告げる。

「それでは、和平の印に…
私の娘をお渡しします。
どうか…お受け取りを。」

「…噂ではこちらの王女は美姫と聞く。
楽しみだな…」


今まで皇太子は各国から、宝物を受け取ってきた。
アイリス国は平和ではあるが裕福な国とは言えない。
国王は仕方なく王女を差し出すことにした。



「… 娘の仕度は出来たか?」

そばにいた側近に尋ねるとうなずかれる。

ドアが開くと白いヴェールに包まれた王女の姿。


「さ、こっちに来なさい。」

「はい…」




しずしずと近づき、そばに着たがうつむき白いヴェールで顔ははっきり見えない。


「殿下… 
私の娘のファリアです。
側女にするなり…なんなりと…」


「…これではよく見えん。」


彼は白いヴェールをぐいと引く。
いきなりのことに驚き、よろけてしまった姫を抱きとめる。

彼女が顔を上げると胸がドクン…と跳ね上がった。




美しい黒髪…
長いまつげに、青珠色の瞳に薔薇色のくちびる。
そして何より可憐な雰囲気。


思わずくちびるを奪う皇太子がいた。


「!?」


姫本人も驚くが周りの人間も驚く。

「!!」




くちづけをして皇太子は更に気づく。

  (!? こんなに…しっとりとした馴染むようなくちびるは初めてだ…
   この姫なら…)



くちびるを離すと彼は告げる。


「アイリス国王よ。
貴殿の娘、気に入った。
私の正妃にしてやろう。」

「!? えぇ!?」

「不満か?」

「いえ、そんな滅相もございません!」

「王女に免じて、アイリス国は友好国としよう。
進軍の心配はせずともよい。」

「あ、ありがとうございます、殿下。」

「それでは王女は頂いていく。」


突然の言葉に国王も王女も驚きの目を隠せない。

「はい… 
ファリア、達者でな…」

「お父様…」



王女は悲痛な笑顔を両親と弟に向けたまま、
皇太子に連れて行かれる…





   ***




城を出ると皇太子に抱き上げられ、馬に乗せられる。

彼は悲しく切なげな表情の王女を見つめた。
自分の腕の中で少し身体が震えている。
瞳を伏せ、ただおとなしくしていた…



共に来ていた輝大佐は王女を見つめる彼の目を見て気づく。


   (殿下が… あんな目をなさるのを初めて見た…!!
    あの言葉は本気なんだ。
    一目で恋したということなのだな…)





皇太子たちは城下町から少し離れたところに野営キャンプを拡げていた。

彼は自分の天幕に王女を抱き上げたまま、連れて行く。

「しばらくここにいてもらおう。」

彼女はただ、黙って聞いていた。



天幕に入るとふたりきり。


彼は自分のベッドに押し倒す。



「…17の王女が本物の乙女かどうか 調べさせてもらおう…」

「…え?」


強引にくちづけると目を白黒させる王女。


ただでさえ、今日いきなり初めてのキスを奪われただけでなく、
身体まで奪われるのかと思うと 恐怖で逃げ出そうとする。

「だ、誰か…助けて…」

「無駄だよ。
ファリア王女。」

ベッドから逃げようとするその白い足首を掴むと
ドレスの裾をめくり上げる。


「きゃぁああッ!!」

誰にも触れられたことのない肌を
今日、初めて会った男に触れられ悲鳴を上げた。

「いやぁああッ!!」


皇太子は初めて女に抵抗され、悲鳴を上げられて面食らう。
ラーン王国の女たちも周辺国の王女も身を投げ出して来ていた。
抵抗する女は皆無だった。
それだけに新鮮味もある。


「きゃぁ……いやぁ…!!」


一気に身に着けていたものを奪うと抵抗は弱まった。


丹念に白い肌を愛撫する。


「く…ぅ……ッ」



涙を流しながら声をこらえる様は逆に彼を悦ばせる。


「声を出すのがイヤなら…耐えればいいさ。
ただし…いつまで持つかな?」


じっくりと柔肌を責め立てると
しっとりと熱く潤みだす秘所。


「く…ぁあ… イヤぁ…そこは…」




まだ10代前半に見えそうなほど可憐な秘所に少々驚く。
指でなぞるだけで、ブルブルと身体を震わせこらえていた。



指が往復するうちに濡れそぼった秘口へと滑り込ませてみる。



「あぁッ!! いやぁ!!」


抵抗は激しくなっていく。

「イヤ!! イヤぁ…止めて!!」



目の前の王女の様子に彼は微笑む。


  (指1本でもこの狭さ… 紛れもなく処女…か 
  嬉しいよ、ファリア王女…)


淫靡な音を立て、指を抽送させるが、やはりキツイ。


「あぁ…いやぁ…」


首を仰け反らせ、それでも抵抗の言葉を口にする王女。


「このままでは辛いだろう?
ちゃんと処女でもイかせてあげるよ。」


「く…イ、ャぁ……」


彼が敏感になった花芽に触れると
びくびくと身体をわななかせていた。

「ああああッ!!」



生まれて初めての感覚に翻弄され、意識を失ってしまう。




「どうやら僕は… 幸せな男になれそうだ。」



華奢な四肢とまだ成熟しきっていない胸。
キメの揃った白い肌。
流れる長い黒髪…


すべてが皇太子を魅了していた。



そっと王女の額にキスを残し、彼は天幕を出て行く。





「おい!! そこのふたり。
見張りに立ってくれ。」

「「はッ!!」」

彼は自分の天幕に見張りを立てて、
自軍の首脳陣のいる天幕に向かう。


「戻ったぞ、ドメス将軍。ビル大佐。」

「あぁ、殿下。
無事に交渉が済んだようで… 何よりですな。」

ドメスは自分の顎鬚を撫で、笑顔を見せる。

「ところで… 進児大佐から聞いたのですが、
王が王女を差し出したと?」

「あぁ。和平の印にと…
私は王女を気に入った。
彼女を正妃にするぞ。」

「「は?」」


ドメスとビルは同時に叫ぶ。

「本気ですか?殿下?」

「わざわざ、こんな小国の姫を娶られなくても…」


彼はエメラルドの瞳を細めて応える。

「…お前たちも彼女を見れば解るさ。」

「「はい??」」

困惑の顔を見せるふたりに進児大佐は告げる。

「確かに美しい姫君だよ。ビル、ドメス将軍。」

「ホントなのかよ、進児。」

「あぁ。」


軍議用天幕の中でにっと微笑む、皇太子と進児大佐がいた…









 -2-


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(2006/1/20)




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