4.ちょっと休憩
いつもならこの時間は授業中。
寮の仲間も学生会のメンバーも授業中。
でも私は…
大学部の授業を受ける予定だったんだけど休講のために
珍しくひとり。
部屋に戻っても仕方がないので寮のカフェテリアで紅茶を片手に図書館の本を読んでいる。
寮の半分は4人部屋。
成績優秀者は2人部屋か個室となっている。
そして私の部屋は個室。
だから部屋に戻っても一人なのでたいてい談話室かカフェテリアにいる。
いろんな国籍の娘が多い中、スイスと日本のハーフは珍しい…そうだ。
友人たちはたいていヨーロッパ系。
スイスは勿論、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリス、スウェーデン、ギリシャ、オーストリアといったところかしら。
だからアジア系のファや私(半分だけど)、エリカが珍しいらしい。
エリカもお母様が日本人でお父様がドイツ人だからあんまりいないタイプと言える。
完全なアジア系はファ(花と書く)くらい。
彼女のお爺様は中国で雑技団の団長をしている。
ご両親もそのメンバー。
でも孫娘は国際的な子にしたいとこの学院に入学させた…
たいていの娘の親は「国際的・グローバル」な娘にしたいとこの学院に入学させるらしい。
私は母の母校がここだったからなんだけど…
でも私にとってとても居心地のいい場所。
国籍や肌の色、宗教観がちがういろいろな国から来ている。
だからこそ感覚が磨かれるのかもしれない…
日常生活からすると基本的に何処の国も女の子は一緒。
ファッションや男の子、アイドル、スイーツ…
みんな大好きなもの。
私も例外ではなかったわ。
やっぱり紅茶には甘いものよね!
カフェテリアの注文口へ向かう。
「すみませ〜ん。いつものケーキお願いします〜。」
「はいよ〜、ローザ!」
おかわりの紅茶といつものチョコケーキ。
それにレモンタルト?
「あれ?ねぇ、頼んでないものが乗っているけど?」
注文口から中のおばちゃんに言う。
「あ〜、それね。おまけ☆あんた いっつもみんなに取られてるしさ〜。」
思いもかけない小さなラッキーに嬉しくなる。
「ありがと、アリーヌさん。」
「いいえ〜。あんたも頑張るのよ〜」
午後の小さな幸せの時間。
終業を知らせる鐘が響く。
しばらくするとがやがやと声が近づいてきた。
ドアを開け入ってきたのは学生会メンバーとクラスメイト。
「あ〜、ローザ!」
相変わらず賑やかなのはマチルダ。
「あ!ずっる〜いケーキ食べてる!」
「いいじゃない〜」
「あ、あたしも食べたい〜☆」
みんな注文口へと殺到する。
いつも冷静なベスとファが紅茶を手に椅子に腰掛ける。
「ごめんね〜、せっかく静かにお茶してたのに。」
「いいわよ。どうせそろそろ来る頃だと思ってたから…」
「大学の授業、休講だったんでしょ?」
ベスが謝り、ファが問いかけてくる。
「唐突に休講だったの。だからひとりで部屋にいてもつまんないだけでしょ?
ここなら授業が終わればみんな来るし。」
「あ〜ん、あたしに逢いたかった〜?」
後ろから抱き付いてきたマチルダ。
「暑苦しいわよ〜マチルダ〜(笑)」
その場にいたみんなが笑いあっていた。
ちょっとひとりの休憩もいいものだけど、
やっぱりみんながいないと楽しくないわね☆
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