Between -1-



「は〜久々のマルスシティだな〜★」

ビルが嬉々とした声をライトコンソールから上げるのを
進児は隣のメインコンソールで、リチャードはレフトコンソールで耳にしていた。

「確かにそうね♪」

リアコンソールのマリアンも嬉しそうだ。

約1カ月ぶりに火星基地のあるマルスシティに降り立つ。

ハードワークを通り越した機体のメンテナンスと4人の休暇のためである。





ビスマルクマシンは点検整備のために格納庫へと。

4人は各自、私物をスーツケースに詰めこんで、官舎へと移動、


なぜか今回は4LDKの部屋に割り当てられた。


昼過ぎに着いた一行は基地司令官に挨拶を済ませると
早々に官舎内でランチを摂る。




「あ〜、食った食った!! ごっそさん!!」

ご満悦のビルの声がピークを過ぎた空いた食堂に響く。


「さて、飯も食ったし、午後はどうする?」

元気いっぱいのビルに3人は呆れた顔を合わせる。


「進児、お前はどうしたい??」

リチャードがわざと進児に振る。

「特には…」

言い淀む進児に対し、こっちもいたって元気なマリアン。

「は〜い!! あたしね、お買い物に行きたいの!! 進児君、付き合って〜!!」

「え〜!?!?!」

いつものやり取りが始まった。


「り、リチャード、お前こそ…」


進児が叫ぶように助け船を求めた。

「ぼ、僕は本屋に行こうかと…」

「お前、電子書籍で満足してないンかよ??」

ビルの突っ込みも当然だった。

常に何かの本を手にしている彼。

「まぁな。
紙の本のほうが僕は好きだね。
確かに電子書籍は情報は早いけど、紙媒体っていいと思うよ。」

「へ〜〜…」

意外な返答に3人は妙に納得。

確かにタブレット以外の文庫本や雑誌、新聞を手にしている彼をビスマルクマシン内で見ていたから。




結果、進児はマリアンとショッピングに、リチャードは本屋に。

ビルはいつものようにナンパへと出掛けて行くのであった。

進児はビルかリチャードにも同行してもらいたかったが、「じゃな!!」と一蹴されてしまった。



*****

リチャードはマルスシティの繁華街の中で一番大手の本屋へと入っていく。

5階建ての大きなビルが丸ごと本屋。

目的の本は決まっているので、何フロアも回って
さっさと手に取っていく。

知らず知らずのうちに結構な数になっていく。

1階の会計まで来るとレジの女性が目を丸くする。

「あ。あの…お客様。」

「ん??」

レジの女性が商品を登録しながら声をかけてきた。

「マルスシティ内の方ですか?」

「え、あ?」

一体何事かと切り返す。

「マルスシティ内でしたら即日無料配送がご利用いただけますが…
いかがでしょうか??」

「そんなサービスがあるんだ。」

「はい。本日中でしたら…最終便は20時までになります。
ご指定のお時間にお届け出来ます。」

「そうか、なら、そうだな… 18時に頼めるかい?」

「かしこまりました。
お届け先はこちらにご記入をお願いいたします。」

渡されたタブレット端末の伝票に記入していく。

記入したのをレジ担当の女性が受け取り、POSレジにデータをひも付けする。

「マルスシティ・連邦軍基地官舎内・リチャード=ランスロット様ですね。」

口頭で確認する女性にリチャードはつい切り出す。

「…あと3,4冊追加していいかな?」

「はい、大丈夫です。」

返事を聞いて、リチャードは小走り気味に店内を回る。

5分と経たないうちに戻ってくる。

「これも頼むよ。」

「かしこまりました。
それでは配送を承りました。
お買い上げ、ありがとうございました。」

レシートと配送伝票の控えを受け取ると、彼は手ぶらで本屋を出た。




レジ担当のアリルは妙に納得した。
軍関係者なら本のまとめ買いがある事は知っていたから。



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(2015/04/12&13)

*あとがき*

またまた、彼がメンバーに告白(?)ネタ。

今回のファリアはパリ在住というパターンです★


*ビスマルク本編 24話以降のお話ってことで*




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