away -4-




―翌日

プリシラは早々に帰国してしまったが、早速、4人からメールが入る。
シャーリーとジュディがアメリカに帰国する前に、またみんなで会おうという事に。


パリに居を構えるシャルロットの家・スフェール男爵邸で午後にティーパーティとなる。

ファリアは午前中にフィナンスエを焼いておく。
それを持っていくことに。




パリ16区ブローニュの森近くのスフェール家の邸。
パーシヴァル家のアパルトメンから歩いて行ける距離なので
集合時間の少し前に家を出て、徒歩で向かう。

途中、横に黒塗りの車が来て、すーっと停まると窓が開く。

「Allo! ファリア。」

車窓からシャーリー。

「え!?」

「シャルロットんちに一緒に行こうよ〜。」

「もうすぐそこでしょ?」

「まぁ、そうなんだけど。  って、なんで歩きなの?」

歩いていたファリアの後ろ姿で解ってしまったから声をかけたのだ。

「私の家、そこなの。そこの最上階。」

「へ…??」

指さされた先は一見してわかる、大きな高級アパルトメン。

「あ〜、なるほど。これは近いわね。歩きだと10分かからないかな?」

「でしょう? わざわざ車を出してもらう必要もないし。
運転手の手をわずらわすのも申し訳ないから…
シャーリーはホテルからだから車なんでしょ?」

「そういうこと★ ほら、乗って。」


停車しっぱなしだと周囲に迷惑なので乗ることにした。

ドアが運転手の手によって開けられると、乗り込む。



「ん?? 何それ??」

ファリアが手にしていた、白い紙袋に目がいく。

「あぁ、コレ? フィナンスエよ。」

「さすが、気が利くわ。手土産とはね。」

二人が会話している間に、邸に到着。


ファリアとシャーリーが下車すると、邸のエントランス。
使用人がドアを開けてくれる。

メイドが二人、控えて待っていた。

「いらっしゃいませ、お待ちしておりました。
どうぞ、こちらへ。」

促されていくと、そこは応接間。
きらびやかな調度品を見れば、邸の格が解る。

テーブルにはすでにティーパーティの用意が整っていた。

「いらっしゃい、シャーリー、ファリア。」

後ろからシャルロットが声をかけてきた。

「おじゃましてます。お招きありがとう。」

シャーリーがお嬢様らしく、挨拶する。

「今日は誘ってくださってありがとう。 素敵なお邸ね。」

「二人ともよく来てくれたわ。ささ、座って。」

「えぇ。  あ、そうそう、シャルロット、コレ、どうぞ。」

ファリアは手にしていた紙袋を差し出す。

「ん?? 中身は何なの?」

「フィナンスエよ。 お茶菓子にと思って。」

「わざわざ買ってきてくれたんだ、ありがとう★」

「違うわよ。それは私が今朝、焼いたの。」

「えぇ〜!!」

「ホントにファリアが?!」

シャルロットとシャーリーは驚きの目を向ける。
受け取った彼女が袋から箱を出し、中身を見る。

一見してお店で売ってそうな美味しそうな焼き菓子。

ファリアの顔を見るとちょっと得意気。

「そうよ。私の趣味でもあるの、お菓子作り♪
家族はもちろん、彼にも食べてもらってたもの。」

「例の宇宙に行っちゃってるって言う?」

「そう。大学戻る時とかに渡したりしてたもの。
そもそもパーシヴァル家の伝統料理やお菓子のレシピがあるから。
幼いころからキッチンに入らせてもらってたのよ。
火傷だけはしないようにって…」

「そうなんだ。ファリア、マジ凄いね。料理もするんだ。」

「そう?? 私、お料理大好きよ〜」


そんな会話をしていると、ジュリエットとジュディがやってきた。


「ごめん〜遅くなっちゃって!!」

「あ。やっと来たわねジュリエットにジュディ。」

今回ホステスになるシャルロットが来た二人に微笑んでいた。

「道が混んじゃってて…」

「いいわよ、気にしてないでしょ? シャーリー、ファリア?」

「「もちろん。」」



5人はメイドが運んできたお茶を前に席に着く。

「あ。そうだ。これ、お皿に盛ってきて。」

シャルロットがメイドに箱を渡す。

「かしこまりました。」

すぐに白いお皿に盛ってこられる。



新たに運んできたお菓子をジュリエットが早速、口にする。

「ん〜!! おいし〜 どこの店の?」

「あ、それね、ファリアが焼いて持ってきてくれたのよ。」

「ホントに?ファリア??」

「えぇ、そうよ。」


ジュリエットとジュディがファリアの顔をのぞく。

「私の趣味なの、お菓子作り★」

「そうなんだ〜。お店の味と変わらないわよ。」
「ホントね。」

5人は笑顔で口に運ぶ。



お菓子とお茶で何時間もたわいのない話をして、5人は親交を深めていく。。。





   *


5時を過ぎたころ、ファリアが切り出す。

「そろそろ、お暇するわね。」

「え〜もう? まだ5時よ。」

「ん、でも…」

帰ろうとするファリアに同意しようとしていたジュディたち。

「そーだ!! 夕食食べて行ってよ! みんな。」

「「「「え!?」」」」

4人そろって驚きの顔を合わせていた。

「いや、さすがに4人は迷惑でしょ?」

ジュディが他の3人に同意を求める。

「そうよね。」

うんうんとうなずく3人。


「そんなことないし。」

シャルロットが控えていたメイドの一人に告げる。

「4人分の夕食、追加ね。」

「かしこまりました。」

控えていたメイドの一人が退室。

4人はポカーンとなっていた。
はっと冷静さを取り戻したジュリエットが突っ込む。

「いきなり4人はまずくないの??」

続いて3人が矢継ぎ早に突っ込みを入れる。

「そうよ、大丈夫なの?」

「コック長に迷惑じゃない??」

「今からって、食材のほう、大丈夫なの??」

「ホントに大丈夫だって。
そもそもうちの父がたまにこういう事やってるから、コック長も慣れているわよ。」

「そうなの?」

部屋の片隅に待機しているメイドがうなずいている。


下がっていったメイドのエレインはコック長と女主人であるシャルロットの母・サフィーナ夫人に伝えに行く。



「あ。じゃ、家に連絡しとかなきゃ…」

「あ、私も。」

ファリアとジュリエットは慌てて、自宅に電話を入れておく。




それとファリアは自分の皿の料理の量を少し減らしてもらえるようにお願いする。


to -5-

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(2015/04/07)

あとがき

リチャードのリの字も出ない。
マジで外伝。




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