amnesia -1-




その日、いつものようにデスキュラに急襲されているという星から連絡が入った。

ビスマルクチームは急いで駆けつける。。。


デスキュラ小型マシンが飛び交い、シティの人たちを殺していた。

ビスマルクマシンが変形して戦うと、市街に被害が出る可能性があると
リチャードの指摘を受け、3人はそれぞれのマシンに乗って飛び出していく。

マリアンがセンターシートに着き、3人を援護する…

ビルのアローストライカーは上空で飛び交うマシンを相手に
進児とリチャードはシティの人を守ろうとして地上でデスキュラ兵を倒していく。。。


ヤケになったデスキュラ攻撃部隊隊長は ドナテルロに跨るリチャードの手元を狙う。
特別製の手綱が切られ、彼は時速120キロで駆けていたドナテルロから落馬してしまう。。。。

「くぅ…!!」


地面に背から叩きつけられた衝撃で彼は気を失う―――

   (ファリア… 父上、母上… 僕は死ねない…!!)


彼の目に最後に映ったのは異星の空…





上空でリチャードを落とした隊長を撃墜したビル。

慌てて近づくビルの目の前には黒のプロテクトギアのリチャードが
大地に横たわっている姿。。。

「リチャード…!? おい、大丈夫か?」

声を掛けても反応はない。


もうデスキュラ兵はあらかた撤収したので
進児もロードレオンで駆けつける。

「リチャード!?」

ドナテルロは傍らで主人のリチャードを見つめていた。
何処か心配げに見えるその瞳。

「落馬して…気を失ったんだな。」

「頭を打っているかもしれん。
病院へ連れて行こうぜ。」

「あぁ。」



マリアンがビスマルクマシンで近づいてくる。



進児とビルは一番上背のある彼を両脇から抱えてマシンに乗り込む―――




   ***


リチャードは夢を見ていた。

真っ暗な闇の中…

進児、ビル、マリアンが会話している。

「リチャード、何処行った?」

「ヘ? またいつものようにそこらで ポエムってるんだろ?」

「しょうがないわね〜☆」

 『…何言ってる? 僕はここにいるぞ!!』

リチャードが3人に駆け寄るが通り抜けてしまう。


 『え…!?』

3人は笑いあっている。
リチャードの存在を感じてない…

 『おい!! みんな!!』

「あはは…」
「うふふ…」
「だはは…」


3人には彼が眼に映ってない…

 『みんな!! 僕は…僕はここに!!』







   *****

―シティ中央病院


リチャードは一応、精密検査を受ける。

CT画像にも問題は無く、内蔵にも骨にも損傷は見受けられなかった。

衝撃による意識喪失―との診断。



病院に運ばれて4時間後、意識を取り戻した…


「お。目ぇ醒めたか?」

「え?」


まるで初めての人に会うような表情。


「リチャード…おまえ… 自分の名、言えるか?」

「…僕の名前?? え…?
僕は…誰だ?」


「「「えッ!! まさか…!?」」」


3人は顔をあわせる。

かつて地球人だけどデスキュラに利用され、始末されそうになったマルセル。
デスキュラに奇襲を受け、ロードレオンごと谷に落とされた進児。


この2人と同じ反応を示したリチャード―



「まさか…記憶喪失なのか??」

「リチャード…マジで名前、思い出せないか?」

ビルが問いかけるが、彼は困惑するだけ。。。


「君たちは…誰だ?? ここは何処なんだ!?」





   ***


改めて診察を受けた彼は外因的ショックによる記憶喪失との診断結果。


「マジかよ… 進児に次いでリチャードまで…
つーことは次は俺?!」

ビルが自分を指差す。

「バカ。。 そんな事あってたまるかよ!!
なぁ、マリアン?」

「そうよ、ビル。
それにしてもリチャードの場合、落馬してなんだから…
乱暴だけどもう一回、落馬させればいいんじゃない?」

「そりゃ、そうなんだろうけど…」

ぽりぽりと頭を掻く進児。

「俺ん時って 実戦に出て、記憶を取り戻させたんだろ?
それでいいんじゃないか?」

「確かにそうだな。
とにかく明日は連れて行こうぜ。」




リチャードは一日だけの入院だけで
ビスマルクマシンに乗せられる。。。



一応、日常生活は大丈夫なようだが
インテリジェンスシステムが使いこなせない。


「マジかよ… どーすんだ? 進児よ。。」

「あぁ。リチャードが使えないのは痛いな…
俺達じゃどうする事も出来ない。」


インテリジェンスシステムで機体の制御やエンジンやその他のメンテナンスチェックなどの
日常の細かな作業をこなしていた。

それだけに進児やビルではかつてのリチャードのように扱う事は不可能。
マリアンもマシンの開発には関っているものの、
リチャードが自分で使い勝手の良いように
改良したりしている部分もあるので、正直無理―




とにかくデスキュラとの戦いに借り出されていくが
正直、足手まとい。。。


ドナテルロに跨る事も剣を振るうことさえも出来ないリチャード…











to -2-


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(2006/2/24)





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