Sympathy  -7-   〜epilogue〜




姉弟は連邦政府軍の地球行きの輸送船に同乗させて貰っていた。
護衛船がついていることもあって、丸一日かかって無事に地球連邦軍本部に到着。




二人はすぐに軍病院で人間ドッグ入りを余儀なくされる。

丸6年間、地球以外で生活していたから、あらゆる検査を受けることに。


その検査の中にDNA鑑定も入っていた。
父親であるアーサー=パーシヴァルのDNAデータは既に預かっているためにすぐに鑑定。



半日の病院検査で二人は完全な健康体であると証明された。


そして姉弟がアーサーの子であることも。




病院で検査結果を聞いた二人の身柄はホテルへと移される。
明日、英国へと送ってもらえる事になった。
IDカードの交付に丸一日かかるということもあってのことだ。




ここまで来るのに丸二日以上かかった。

あと1日と思うと早く時間が過ぎて欲しいと願う。



ホテルの部屋でくつろぐ二人。

姉はベッドに腰掛け、彼から贈られたリングを愛おしそうに触れていた。
弟も彼に買って貰った本を興味深けに読んでいる。



コンコンとドアをノックする音。
姉が対応に出る。


「はい。どちら様…?」

ドアを開けると…連邦軍の仕官と共に立っていたのは懐かしい父の姿。

「!! …お父様!?」

少し老けたが間違いなく父。
父のほうも驚く。
別れた時は12歳だった娘。
18歳に成長した愛娘を見て目を細める。

「ファリア…だね? 随分大きくなって…綺麗になったな…」

「お父様!!」

思わず父に抱きつく。
こんなに父が小さかったかと思うが自分が成長したからなのだとすぐに解る。
父もそんな娘を抱きしめる。

姉の声を聞いてアリステアも飛び出す。

「父様!?」

アリステアの姿を認めた父はまたも驚く。
7歳だったわが子は13歳に成長していた。

「アリステア…お前も…大きくなったな…」

父の腕の中に飛び込む少年。

「父様ぁッ!!」



父は娘と息子を腕に抱きしめる。



「どうして…お父様。迎えに来てくださったの…?」

「あぁ、リチャード君から連絡があってな。一日遅れで連邦軍からも連絡を受けた。
お前達が生きて帰ると…
一日でも早く会いたくてな…すっ飛んできた。」

愛しい二人の子を抱きしめ父も滂沱する。



ひとしきり泣いた父子。

父が娘に尋ねる。

「ファリア…随分苦労したようだな。
リチャード君から聞いた。」

「え!?」

「アリステアだけでも英国に戻したくて…かなり無茶をしたと聞いた。
辛い想いを…させた様だな。」

「いいえ…。もう過去のことだわ。」

涙を流しながら笑顔を見せる娘。

「…父様。僕のために姉さまが…」

「お父様。私、正直に言うわ。
…バーでピアノを弾いて歌っていたの…。」

思いがけない言葉に驚く父。

「歌姫…か?」

「えぇ。」

じっと妻に似た美貌を持つ娘を見つめた。

「今のお前を見たら…少し納得できるな。
さぞ売れっ子だっただろう?」

「お母様譲りのこの顔のおかげだわ。」

「確かに若い頃のセーラに似ているよ。」


悲しい笑顔を見せる父に問いかける弟。

「ね、父様。…母様…亡くなったんでしょ?」

「何故、その事を?…リチャード君に聞いたか?」

「うん。」


「…私は6年前のあの一件で一度に家族3人を失った。
だからお前達が帰ってくると聞いて…私は…」


目頭を押さえる父。

「私はお前達が死んだと信じられなかった。
セーラは遺体が発見されたから…諦めがついた。しかし…」


「「父様…」」


姉弟は男泣きする父を見つめる。

「こうして…お前達が私の元に帰ってきてくれた。
それだけで十分だ。…お前達が無事で…」


父もまた辛い時間を過ごしてきたと悟った。

「!!  お父様…ごめんなさい。私…私…」

「ファリア…?」

「私、アリステアだけ英国に帰そうとしていたの。
それでいいと思ってた。
私はもう…帰れないって思いこんでいた。」

自分の想いを父に吐露する。

「何故だね?」

「だってバーで…働いていたって、歌姫をしていたなんて…
パーシヴァル公爵家にとって不名誉だって思ってた。
だから後継ぎのアリステアさえ帰ればいいと思ってたわ。」

「!! 何を言っている? お前がアリステアを養うためには手段が選べなかった。
違うか…?」

「いいえ、そうするしかなかった。まだ少女だった私が働ける場所なんて限られていたわ。
もっと酷かったら…私…売春宿に身を売られていたかもしれない…」

「!!」

父は最悪、そういうこともありえると思っていた。
未開の星で若い娘が働ける場所なんてそうそうない。


「…ファリア。お前がどんなになっていても私の娘だ。
たった一人で弟を育てていただけでも感謝している。
誰が不名誉だなんて言える?そんなものくそくらえだ!!
こうして帰ってくれるだけで…」


「お父様…ごめんなさい。ごめんなさい…」



父にすがり泣く姉を見つめる。

「父様。僕、姉さまが稼いでくれたお金で一人で帰るはずだった。
けど…セレス星へ向かう定期船が…デスキュラに襲われて…
僕を助けてくれたのはリチャードさんたちビスマルクチームの人たちだったんだ。」

「!!  何だって?! リチャード君に?!」

「うん。それで…僕、リチャードさんに頼んだんだ。
"姉さまを助けて!!迎えに行ってあげて"って…
だから姉さまも帰れることになったんだ。」

息子の言葉を聞いて目を丸くする父。

「本当に?!ファリア??」

「えぇ。彼に説得されたわ。
"君の父上と自分のために帰って欲しい"って…」

「そうか…彼には感謝しっぱなしだな。」




そして気づく…娘の左手の薬指のリング。

「…ひょっとして…リチャード君にプロポーズでもされたか?」

「…えぇ。」

少々頬を赤らめて応える。

「そうか…。 彼も"彼女は生きてる。死んでない。"と言っていたからな。」

「…彼…ずっと私のこと想ってたって聞いたわ。」

嬉しそうに告げる娘に父はおもむろに言う。

「…ファリア。ひとつ頼みがある。」

「はい。」

「婚約は構わん。しかし…結婚は少なくとも2年は待ってくれ。」

「…お父様?!」

「彼も私も…お前達とは6年のブランクがある。慌てて嫁にいかないでくれ
…頼む、私の娘でいてくれ。」

父の思いも当然だ。

「…はい。解りました。」


父子はこのあと6時間ほど、話をしていた。





   ***


―翌日
英国へと帰るパーシヴァル一家。
ロンドンの空港には祖父と祖母が迎えに来ていた。
再会を喜び合う一家5人。



ファリアのたっての願いで母の墓へと向かう。

姉弟はもう2度と会えない母の墓前で泣いていた。
そしてここに戻ってきたことを報告する。








それから1ヵ月半後―

リチャードがビスマルクチーム解散ということで英国に戻ってきた。

彼は帰ってきた翌日、父・ランスロット公爵を伴ってロンドンのパーシヴァル邸を訪ねる。


それは勿論、彼女と正式な婚約をするために…


パーシヴァル公、ランスロット公の二人の父に認められるが
婚約発表は来年にということに。
まずはファリアの英国社交界デビューを年内にという話になる。


しばらくは普通の恋人同士と言うことで。






彼女のバースディの翌日。
連邦軍からリチャードに緊急連絡が入る。

   <ビスマルクチーム再結成>


慌しく本部へと向かうことになる。
彼女なら解ってくれると思った彼は深夜、電話で告げた。

「もう一度…戦ってくる。決着がついたら必ず帰る。」

「行ってらっしゃい。私と地球の人たちを守ってね…」

「あぁ。」





彼はまた戦いに赴く。
以前より強い想いを抱いて―――――





FIn
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(2005/5/29)

●あとがき●
一気に書いちゃいました〜♪
シリーズ的には「夜の妖精」…かな??
Bitter&Darkといった感じで。


まあ裏ちっくなのは-5-だけか??

暴力ちっくな描写もあるし一応、裏。

ちなみに本編の時期にシンクロさせると#41と#42の間くらい…
ということで。



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