貴方を待つ間に1杯の紅茶を






「今日は、これから久しぶりに外で逢おう。」なんて電話。
隣の邸… とは言っても約1キロ離れてる。


車で来るのは解っているから…ほんの少しの時間。

その間に リビングのテーブルに用意するの。

私の好きな茶葉。

それにお気に入りのティーカップ。


ティーサーバにお湯を注いで、砂時計。

さらさらと落ちていく砂。

ホイッピングして少しずつ濃くなっていく紅茶を見つめてる私。

砂が落ちきって、暖めておいたカップに注ぐ。

「ん。いい香り♪」

すうと香りを楽しみ、口に含む。

しばらくして廊下を歩いてくる音で彼だと解る。

笑顔でやってきた彼に笑顔を返す。

「や、ファリア。」

「いらっしゃい。今日は何処に連れて行ってくださるの?」

私は彼に問いかける。

「あぁ、せっかくの天気だし、たまには郊外へ… 

おや?いい香りだね。」

テーブルの上のカップに目が行く。

「待っている間にいただいてたの。」

彼はソファに腰を下ろし一言。

「僕にも1杯 淹れてくれないか?」


「えぇ。」



茶葉を新しいのに変えて淹れる。
カップに注ぐと香り立つ紅茶。

「ん。いい香りだね。」

思わず私は笑ってしまう。

少しむっとした彼。

「そこ…笑うところか?」

「いいえ。私と同じこと…言ってるから。」

「…そう。」

彼は笑顔になって私を見つめる。

1杯の紅茶で笑顔を見せてくれるリチャード。
こんな瞬間が私は大好きよ。




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(2005/6/20)

*あとがき*

再会してLOVELOVEHAPPYな二人を書いてみたかったんです。
二人して紅茶好き♪なのでこうなっちゃいました。





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