sweet birthday





デスキュラとの戦争も終結し、彼−リチャードの元には許婚で幼馴染のファリアが帰ってきた。


二人が母国・英国に戻ってからはめまぐるしいほどの忙しさ。


彼女の母・パーシヴァル公爵夫人セーラの葬儀があり
その喪が明けた途端、彼女のデビューパーティ。
(喪の間にファリアはレディの教育を受けていた)

年末になる12月には女王陛下からリチャードに勲章が授与された。
その式典とパーティ。
母国で彼は英雄扱いだった。
そのため上流貴族からのパーティの招待状の数は半端ではなかった。


それらの忙しさから開放されたのがクリスマス前。


両親と静かに城でクリスマスイブを過ごした。
25日は彼女と会ってプレゼントを渡す。
勿論、彼女からも渡される。



1月になっても何故かバタバタしていた。

そんな矢先、ガニメデ連邦政府からビスマルクチーム4人に招待状が届く。


平和式典と慰労パーティを開くから是非来て欲しいというものだった。

ビルには婚約者のジョーンも一緒ということで。

そのことを知ったリチャードはそれならば自分も彼女を連れて行きたいと思う。

電話でそのことを話す。


『私…招待されていないのに…行っていいものかしら?』

『君はパーティ会場で僕が一人でもいいと思うのかい?』

『え…』

『ビルはジョーンと、進児はマリアンと… じゃ僕は?浮気してもいいのかい?』

受話器の向こうのファリアがくすっと笑う。

『あなた、淋しいの?』

『…そうだと言ったら、君は来てくれる?』

少しの沈黙の後、彼の言葉が本気だと気付いたファリアは躊躇いがちに応える。

『…わかったわ。でも…』

『大丈夫さ。』




リチャードは電話を切った後、招待状をよこしたガニメデ連邦政府に問い合わせる。

”婚約者を同行したい”と

そいいうことならと対応した政府官僚は快諾した。
彼女宛に招待状を出すということで。





ビスマルクチームとジョーンとファリア、それにルヴェール博士が
ガニメデ連邦政府のチャーター機でガニメデ星に向かう。


機内で楽しい時を過ごす7人。


ふとビルが思い出す。

「そういや、リチャード。お前さん、今日、誕生日じゃなかったっけ?」

「そうだよ。」

リチャードはグラスのアイスティーを口に流し込む。

「あぁ、そうだったわ。ね、進児君。」
「そうだよな。」

進児、マリアン、ビルのやり取りを見ていたファリアはその様子を笑顔で見ていた。

「今年は何も用意してなかったな…すまない。」

きっかけとなったビルが謝る。

「いいさ、別に。」

リチャードは平然としていた。
彼の横で微笑んでいるファリアにマリアンが問いかける。

「ねぇ、ファリアさんは何かプレゼントしたの?

「えぇ、2日前にねv」

「ふーん。さすが〜。」




彼女が彼に渡したのは手編みのセーターと手袋。
それと頬にkiss。





一行がガニメデ星に到着したのは夕方。


政府の高官が彼ら7人を迎える。
その中にドメス将軍もいた。

高官達と一行は夕食会のためにセントラルシティホテルのレストランへ。

勿論、彼らの宿泊先でもある。

6時半からの夕食会は高官8人と一行の7人。
女性はマリアン、ジョーン、ファリアのみ。
彼女達はしっかりドレスアップして出席した。




−夜

各自の部屋に引き上げた頃は夜9時を回っていた。

リチャードはタキシードを脱いでシャワールームへと向かう。
一日の疲れを取るために熱めのシャワーを浴びる。


シャワールームから出るとバスローブに身を包み、
部屋に備え付けの冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを出し、一気に飲み干す。

「ふう。」

窓の外はセントラルシティの夜景。

その時、ドアをノックする音。

ふと時計を見ると10時を回っている。
こんな時間に誰だ?と思いつつドアを開ける。
そこには愛しい恋人でもある彼女−ファリアが立っていた。


「今日はお誕生日だって言うのに一日お疲れ様。」

彼女は優しい笑顔で彼に言う。

「あ、あぁ。」

「やっぱり当日じゃないとね。
…Happy Birthday,Richard。
20歳おめでとう。」

ファリアは彼の頬にキスしようとした。
しかし腕を引かれ部屋に引き寄せられる。
彼女の背後でドアの閉まる音。

思いがけない彼の行動に少し驚く。

「…20歳だから 大人のkissがいいな…」

そう呟いて彼は熱く甘い唇を奪っていた…






END
_________________________________________________________________
(2005/1/30)

はははは〜やっちまったですよ〜。
ちょっと恥ずかしいですな。

その後の二人については皆さんのご想像にお任せします。(爆?)




Event Novel