so sweet -5-
ベッドの上のリチャードたちをドアの影から見ていた進児とマリアン―
ふたりとも目の前で繰り広げられる愛の営みに目を奪われていた。
「…マリアン、行こうぜ。」
「えぇ…そうね。」
ふたりとも顔を真っ赤にしていた。
部屋に戻る途中、進児が告げる。
「俺…ごめん。」
「え?」
「今日…ブレーキ利かない。
イヤなら…そう言って。」
ふるふると首を横に振るマリアン。
「いいの…進児君が望むのなら…」
「そうか…」
進児がマリアンの手を取ると震えていた。
顔を覗き込むと恥ずかしげな笑顔。
つい、照れ臭くて背ける様が可愛い。
くすりと笑う進児は嬉しそうだ。
「好きだよ…マリアン。」
「うん…私も… 進児君のこと、好き…」
二人は部屋に戻ると初めて深い口付けを交わす。
「…ん …」
それだけでマリアンも進児もとろけそうだった。
身体から力が抜けていくマリアンをひょいと抱き上げ、ベッドに下ろす。
ダークブラウンの瞳に情熱の赤みを帯びた進児の視線でマリアンは切なさを憶える。
「あ…」
初めて見た男性の色気を帯びた色彩(いろ)の瞳。
もう少女に思考はなかった。
進児が首筋にキスするだけで可愛い声が漏れる。
「あ… ん…」
初めて触れる白磁のように白い肌。
進児の手も震えていた。
(こんなに可愛いものに… 触れていいのか…?)
少しためらいながらもぎこちない動きで少女の身にまとっているものを奪っていく。
「あ… 進児君…」
少したどたどしい動きながらも、少女は白い裸身をよじる。
少年の愛撫で少女は恥ずかしさを感じながらも、
自分の身体の奥が熱くなっていくのが解った。
「あぁ…進児…くぅん…」
「…マリアン…」
うっとりとしたブルーの瞳が自分を見上げてる。
どくん…と鼓動が高鳴っていく。
リチャードがどんな風に彼女を愛撫していたのか思い出そうとするが
目の前の光景に心奪われて、まともに思い出せない。
進児の手がするりと下へと向かう。
白い太ももに触れるだけでびくりとなると
自分の自身も反応している。
「あ…マリアン…」
太ももを撫で上げ、付け根に触れると熱く蜜が滴っていた。
(女の子って… こんな風になるんだ… )
そっと触れると身体がサカナのようにはねる。
「あぁんッ!」
初めての快感でマリアンも少々戸惑いを覚えながらも進児に応えようとしていた。
彼もまた言葉に出来ない想いを伝えたくて もどかしい。
それを解って欲しくて、まだ少々未発達な部分の残る少女の肌にくちびるを落としていく。
少女の脚ががたがたと震え出す。
「あ… あん… し、進児く…ん…」
少年の指先がまだ開かれたことのない扉の入り口に滑り込んだ。
「う…ッ …あ… んッ!!」
「痛いか…?」
優しく問いかける。
「少し…」
「そうか…
なら、止めようか?」
「イヤ!! 少し位いいの!! お願い!!」
少女の健気な言葉を聞いて、少年はくちびるにキスする。
(愛しくてたまらないよ… マリアン…)
深く浅くキスを繰り返す。
少年の手は白い肌の上を滑る。
再び金の草むらの奥に触れてみると、前より痛がらない。
優しい思いで少年は少女を抱きしめる。
初めてお互いの心の…
身体の温かさを知った夜―――
*****
―朝
進児が目覚めると腕の中でマリアンが幸せそうな顔して眠っていた。
夕べのことが夢ではないと実感する。
(何度か夢に見たけど… 現実になったんだな…)
時計を見るとAM8:21。
そっと身を離し、シャワーをして服を着る。
まだマリアンは眠っていた。
起こすのも可哀相だと思い、一言メモを残して部屋を出る。
朝食のビュッフェに行くとリチャードとファリアの姿。
昨夜のベッドの光景を思い出すとそっちこそ夢ではなかったのかと思えた。
朝陽の中に見えるふたりは清冽に見える。
「おや…進児、おはよう。ひとりか?」
リチャードが進児に声を掛ける。
「あぁ…おはよう。」
「マリアンは?」
ファリアに問われてはにかんだ笑顔になる進児。
「まだ…寝てる。」
「…そう。」
進児の表情を見て夫妻はふたりがどんな夜を過ごしたかを察する。
「じゃ、俺、邪魔だろうし…」
そう言ってふたりとは違うテーブルに向かう進児を呼び止めたのはファリア。
「いいじゃない。ひとりじゃ淋しいでしょ?
ねぇ、リチャード?」
「あぁ…マリアンもそのうち来るかもしれないしな。」
リチャードたちは優しい笑顔で進児を誘う。
向かいに座るふたりを見ている進児。
特別会話もしてないのにふたりの親密さが解る。
彼女の皿にひょいひょいと自分の皿の料理を移している笑顔のリチャード。
「何してるのよ…?」
「ん? もうちょっとしっかり食べて欲しいからな。」
「太っちゃうわよ。」
「朝食だからいいんだよ。夜の方が太るんだ。」
「もう…」
困った風の顔をしながら彼女は笑顔。
そんな彼女を見つめるリチャードの瞳は優しさに満ちていた。
(このふたり… ホントに仲良くて…
信頼しあって… 愛し合ってるんだな…
リチャードのこんな顔、初めて見たよ )
進児は目の前のふたりが少々羨ましく感じる。
「進児君、ちゃんと食べてる?」
ファリアに問われると手が止まっていたことに気づく。
「あ、うん。」
そう言われ料理を口に運び出す。
3人の和やかな朝食―
食事を終え、最後に夫婦は紅茶を、進児は珈琲を口に運ぶ。
「ね…ファリアさん。」
「なぁに?進児君?」
「あの… 少し聞きたいのですけど?」
「私で答えられることなら。」
リチャードは進児が彼女に問いかけるのを黙って見守っていた。
「やっぱり女の子って疲れるものなんですか?」
「何のこと?」
黒髪を揺らして進児に問い返す。
「…えっと…その…」
進児が顔を赤らめるのを見て
何のことか察した。
「あぁ…そうね… 。
私も彼にはついていけないもの。仕方ないわ。
ね、リチャード?」
「んー… まぁ、そうだな。」
「…そうなんだ。」
夫妻の答えを聞いて納得した進児。
「だって進児君もリチャードも鍛えた男の人だもの。
普通の女の子なら…ついていけないわ。
無理させないであげて。」
「…わかりました。」
進児が素直に返事するのを見て安心する。
ファリアは前から気になっていたことを口にした。
「あの…進児君。」
「はい?」
「私に敬語で話すの止めて下さらない?」
「へ?」
思いがけない言葉に驚く。
「だって…ねぇ…リチャードはどう思う?」
「まぁ…そういうことだな。
僕に対しては普通なのにな進児は。」
「わ…解ったよ。でも…ファリアさんって超美人だし…
なんていうか高貴な感じがしてさ…」
照れ臭そうに進児が言うのを聞いてリチャードも率直に言う。
「あ、それは仕方ないか…
普通の人間にはない空気が彼女にはあるから…」
「え?」
「僕は幼い頃からそばにいるし…それがファリアだって認識してるからな…
他の人はそう感じるだろうな…」
「…」
彼女は黙って聞いていた。
(私の王室の血のことなのね…)
少し切なげな悲しい顔をする彼女を見て、リチャードは言葉をつなぐ。
「僕にとっては宇宙で一番可愛い女性だと思っているよ♪」
「もう…リチャードったら…」
照れるファリアの前で彼は笑っていた。
それにつられて進児も笑ってしまう。
「あ!!いた!! 進児君!!」
マリアンが姿を現した。
「あ、やっと来たか…」
「もう何で起こしてくれなかったのよ!!」
「いや…だってさ…」
金髪の美少女に詰め寄られ困っている顔の進児を見て夫婦は笑っている。
「マリアン…それより食事したら? おナカ空いてるでしょ?」
ファリアに言われ空腹感に襲われていることに気づく。
「あ、うん。持ってくるわ☆」
彼女に言われ小走りにいく。
「ありがと。ファリアさん。」
くすっと笑う彼女の顔を見て、進児はどきりとした。
「いいのよ。…マリアンの気持ちも、進児君の思いも…なんとなく解るから…」
「そう?」
「だって進児君はマリアンが可愛いから起こせなかったんでしょ?」
「う…うん。」
「私も時々あるもの。」
彼女の発言に驚いたのはリチャード。
「え? …僕を起こさない時あるの?」
「そうよ。」
「なんで?」
「だって…リチャードの寝顔、可愛いんですもの。」
「!?」
ぷっと吹き出す進児の横でリチャードは頬を少し染めていた。
「はぁ〜、やっと食べれるわ☆」
マリアンがトレイに大量の料理を載せて戻ってきた。
「あれ… リチャード、どうしたの?」
彼の様子が今まで見たことのないものだったので問いかける。
「何でもないよ。」
笑いあう進児とファリアの笑い声が響いていた…
fin
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(2005/9/23)
*あとがき*
目的はリチファの再会と進マリの初H。
で、なんとかなった…
相変わらずビルの出番がない…すまん!!!
次は主役にするから勘弁して!!
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