petit jealousy


久々にロンドンは雪景色。
ランスロット家とパーシヴァル家、両方の庭園も真っ白。


彼女はランスロット家に遊びに来ていた。



久々に見る雪に無邪気にはしゃぐ。
彼がそんな彼女をまだまだ子供だと笑っていた。


「だって… いいじゃない!」


ふてくされた彼女は庭園に出た。
昼だと言うのに暗い曇天。
ふわふわと雪が舞っている。


その中で微笑みながら佇む。


自分のコートに舞い降りた雪がしばらくすると融けてなくなる。

少し切なげな顔をしていた彼女のところに
ランスロット家の飼い犬・レトリバーのソルジャーが尻尾を振ってやってきた。

久々にソルジャーに会う彼女。


「久しぶりね、元気だった??」


相手が成長してても解っているソルジャーは彼女に擦り寄る。
その光景を見守っていた彼。

嬉しそうにべろべろと彼女の頬を舐める。。


「ふふ…くすぐったいわ…ソルジャー。」


犬は調子に乗って彼女にのしかかる。
尻尾を振り、彼女を雪の上に押し倒した。

根っからの動物好きの彼女は犬のなすがままにしている。


彼は思わず、叫びながら走ってくる。

「離れろ!! ソルジャー!!」

リチャードのその様子に驚くファリアと犬。


「いいから、離れろ!!」


くぅーんと切なげに鳴きながらあとずさる。
その間に彼は彼女を抱き起こす。

「ソルジャーのよだれでべとべとね〜。」




彼は彼女の手を引いて屋敷の中に入る。

「ど、どうしたの? リチャード…?」

無言で彼が怒っているのが解る。
彼の部屋の洗面室に連れて行かれた。


「…顔を洗ったほうがいい。」
「そ、そうね。」


ペットに触れたら手を洗いましょうと言われて育ったふたりだが
顔を洗うのは初めてな気がした。
今回は顔がよだれでべとべとになっている。


彼は横に立っていて
洗顔が終わるとタオルを差し出す。

「あ、りがとう。」


顔を拭き終わった、彼女を抱きしめる。

「リチャード…? どうかした?」
言い終わる前にキスされる。



彼のくちびるに怒りを感じる。

「ん…ふ…ッ」


思いがけないディープキスに反応してしまう彼女。


「ふ…ぁッ…」


彼がくちびるを離すと、ふたりの間に銀の糸。



「…どうしたの?」

彼は怒っているようだから変なことは言わない方がいいと彼女は解っていた。



「君にキスしていいのは僕だけだ。」

「え?!」

思いもしなかった言葉に驚く。


「誰か…私にキスした??」


きょとんとした顔で彼女は問いかけた。


「ソルジャーが君にのしかかって舐めていたじゃないか。」

「何言ってるのよ…犬じゃない。」

「犬でもイヤだ。」


彼の言葉に少し呆れる。

「僕以外の男とキスするな。」

「…犬でも??」

「勿論だ。」

断言する彼にすこし嬉しさを感じた。
これは彼がソルジャーに嫉妬してくれたのだと解ったから…



思わず  ふふっと嬉しくなって微笑む。

「私がキスしたいのはあなただけよ。」


そう告げて軽くキスする。



しかし彼は彼女のあごを捉えて、くちびるを奪う。

くちびるの絡む音が白い壁の洗面室に響いていた。

コートを着たままのふたりが
洗面室でキスしている様は少し妙だった―――





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(2005/12/26)

*あとがき*
唐突に現代版を書きたくなったので
昔の下書き原稿を引っ張ってきました★
バカップルですか…???





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