気がついた時には恋に落ちていた




彼女と僕が生まれて初めて会ったのは2066年の12月―――
つまり彼女の生後3ヶ月を過ぎた頃らしい。

「らしい」と言うのは少し大きくなってから母に聞いたからだ。




今、僕は18歳。

その事を初めて聞いたのは5,6歳だったと記憶している。




お互い初めて会った時は赤ん坊―


当然記憶にない。




だからまともに覚えているのは…僕が5歳、彼女が4歳の春。


僕の家―ランスロット城でのお茶会に来ていた彼女。








城の敷地内で野犬に襲われていた小さな少女を僕は無我夢中で助けた。



直後に彼女が隣の領地のパーシヴァル家の令嬢だと聞かされた。



僕は…あの助けた時から彼女のことが気になっていた…











僕とは違う黒髪のサファイアの瞳の小さな少女―



まるで花の精のように可愛らしい彼女を好きだと気づいたのはいつだろう…?






そして同じ学校に通い出した。


初等部の終りの年、事件が起きた。

のちに「P・スキャンダル」といわれた事件。




僕のクラスに編入してきたアメリカ人・ジョージィ=プリングルス。
アメリカの学校を放校処分になったヤツだと聞いた。

よりによってヤツの目に止まったのが彼女―



ヤツに呼び出された僕。



「僕は…家柄なんか関係ない。僕は純粋に彼女が好きだ。」



自分でも驚いた。
考えるより先に口が動いた。





そうだ…僕はあの頃、既に恋してた。
ただの「好き」じゃない…



P・スキャンダルの直後、僕が父に相談した結果…
彼女との婚約が内々に決まった。


僕は自分の気持ちを素直に彼女に告げた。
嬉しそうにはにかみながら…
僕の花嫁になると約束してくれた。


それから2ヶ月も経たないうちに
彼女はガニメデ星に家族旅行の途中、宇宙で行方不明に―――



僕はずっと恋に落ちている―


まだ失っていない―




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(2005/6/20)

*あとがき*
多分、彼の手帳の日記はこんな感じかと思って…(苦笑)
ここまで文章が出てくる自分にびっくりだぁ!!


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