6.振り返ると?






毎日、寮と校舎の往復で私たちの日常は退屈。


平穏な日々が一番と解っていても刺激を求めるお年頃。


私はどちらかといえば穏やかに静かに暮らしたいのに周りがそれを許さない。


一番のお騒がせ娘はマチルダ=クリストフ。

次いでロージィ=ルイスといったところ。


今日は一体何をしでかすか…
寮の監督生でもある私や、寮長のソフィアが一番やきもきさせられている。



いつもの朝がやってきて、相変わらずのカフェテリア。

一番最後に来て、一番にぎやかなマチルダ。

トラブルメーカーとしては天然入っているロージィの方が上かもしれない。



私は中等部の寮にいながら大学部へと通っている。
だからみんなとは多少時間帯が違う。 早々に食事を済ませ二人に頼む。

「ソフィア、べス!ごめん、もう行くわ。あとよろしく。」

うなずいてくれた二人に手を振って
早々にカフェテリアを後にする。


夜まで何にもありませんように…
そう祈りながら。



大学部までの距離は半端ではない。
学院の敷地を端から端まで移動するようなもの。

やっと大学部の校舎へ。


教授の講義を真剣に聞いている人もいればそうでない人もいる。

私は飛び級でここにいるから人一倍頑張って聞いていた。

午前の講義が終わり、大学部のカフェテリアへ。



年上のお姉さまに囲まれての食事は…
私の世代とあまり変わらない。
ファッションのことや今日のランチメニューのこと、スゥイーツのこと…
違いは異性問題が生々しいだけだ。



午後の講義を終えてやっと中等部の寮へと戻る。

まだここは授業中だった。


静かなので講義のノートをまとめる。


もくもくと書いていると終業の鐘が響く。

これで少しは騒がしくなるか…

そう思っていつものように自室を出てカフェテリアに向かう。


長い廊下を歩いていると肩を叩く者がいた。

いつものマチルダの悪戯かと思い
振り向かずに声をかける。

「誰?」



答えはなかった。
不審に思った私はつい振り返る。

するとそこには…




シスター・マリアが立っていた。
しかも少々不機嫌。
私のせい??

「ローザ=ブラッドフォード…」

「はい。」

「大学部で随分頑張っているようですが…」

「?」

「誰何をするのに振り向かないのは失礼でしょう?」

「す、すみません。」

「ま、今回はあなただから不問としましょう。」

その言葉に安堵する。

「誰かと間違ったのですか?」

シスターの言葉にどきりとなる。

「は…はい。」

「ひょっとして…マチルダ=クリストフではありませんか?」

「な、何故そのことを?」

「あの子は…いつもしているようですね。」

言葉尻は怒っているが顔がそうでないことに私は気付く。

「悪意はないのはわかっているんですよ。
でもいくら注意してもやめないんです。
ローザ、あなたからも言って下さいな。。」

「私も再三、注意はしているんですけど無駄です。」

「そうですか…仕方がない子ですね。」

「えぇ。いつもです。シスター」



シスターと二人、笑い会った後、改めてカフェテリアに向かう。


また私の背中を叩く人がいる。

振り返るとやっぱりマチルダ。

人差し指で私のほおをついてきた。

「やっぱり、マチルダ。」

「解る?」

「解るに決まっているでしょ?まったく進歩のない人ね。」

「そっかな〜、胸はおっきくなっているよ。」

「バカ。」




今日は振り返るとシスター・マリアとマチルダの二人だった。

こんな日もあるのね。




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